有償インボイスと無償インボイスの違い

2017年3月21日更新

海外へ物品を送るには、輸出側と輸入側それぞれで通関を経る必要がありますが、輸出する側は物品を送る際にインボイスを作成する必要があります。これは日本語では仕入書と呼ばれることもありますが、要は「送り状」のような役割を果たします。またこれをもって請求書の役割を持たせることもできる書類でもあり、貿易を実際に行う当事者間で、輸出する側から輸入側へ発行する必須書類の一つとなります。

このインボイスにも、通常の売買による取引で、相手からの支払いが必要となる「有償インボイス」と、無償サンプルなどを送るときに使う支払いが不要な「無償インボイス」の二種類があります。

インボイス書面上の両者の違いというのは、「no commercial value」や「non-commercial value」といった文言がインボイス上に記載されているかどうか、という点になります。

こうしたnon commercialといった文言が付記されている場合は、無償インボイスということになります。

有償インボイスと無償インボイスの表記上の違いは前述の通りわずかな部分となりますが、実務上はこれらには大きな違いがあります。

無償インボイスを用いて輸出(出荷)したものについては、相手側から支払いを行うことができません。とりあえず無償サンプルとして送っておいたが、あとからこれを有償にする、というようなことは原則できないということです。

貿易品に対する支払であることを証明するために、通関証明などを税関から発行してもらい、それをもとに送金を行うことが多いのですが、無償インボイスで通関してしまうと、この通関証明の際の金額が「0」となってしまいます。

相手からの支払いが必要な取引の場合は、必ず有償インボイスを使う必要がある所以です。

このような理由から、通関に用いたインボイス(請求金額)と、請求に用いるインボイス(請求金額)というのは、本来一致している必要があります。

インボイスというのは送り状としてだけではなく、請求書としての役割も持ちますので、その必要が無い無償インボイスについては、分かりやすいように、「no commercial value」の文言を付記するというわけです。

有償インボイスと無償インボイスを使うケース
有償インボイス 無償インボイス
通常の売買。貿易取引で相手からの送金が必要な場合。 無償サンプルを送付する場合。返品する場合。通常売買した製品の不具合等があり無償代替品を送る場合。

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