dutyとtariffに違いはあるか

2014年10月21日更新
dutyとtariffに違い

Tariff(タリフ)とDutyはどちらも関税を意味する英語であり、ほとんどの場合、どちらを用いても誤解を生じることなく意味は通じます。実際、貿易の中でも特に通関業務や関税のコスト計算に携わる仕事をしている人たちの中では明確に使い分けられることもありますが、入れ替えて用いても意味が変わるような違いはありません。関税とは、国境をまたいで物品がやり取りされるとき、政府が課す税金のことです。

Dutyは輸入関税について言うことが多く、対してTariffは輸出入どちらの関税にも使われると説明されている辞書もありますが、Import dutyだけでなく、Export duty(輸出関税)についても使われることも当然あります。したがって、DutyとTariffの違いは、この輸入だけを意味するか、輸出入双方の関税を意味するかという説明では不十分です。

輸入関税を示す場合、Import duty、Import tariffのどちらも使うことができますが、Dutyのほうは支払うべき関税あるいは実際に支払われた関税金額そのものを示すような場合によく使われます。一方、tariffのほうは、「関税表」や関税体系そのものを意味の中に含んでいます。

各国の税関が自国の「関税率表」を表現するときに"tariff"の用語がよく使われるのはこのためです。Tariff rate(タリフレート。関税率)、Tariff schedule(タリフスケジュール。貿易協定などで使う関税を低減するためのスケジュール)、Tariff line(タリフライン。関税体系のなかの品目を示す最小単位)、Tariff Jump(タリフジャンプ。貿易協定などで原産品とするための条件の一つ。関税はHSコードと呼ばれる関税分類番号体系で決まり、そのHSコードが変わることをタリフジャンプと言います。)、Tariff elimination(関税撤廃)、Tariff quota(関税割り当て制度)といった専門用語が関税に絡む業界では使われますが、いずれも「関税表の中にある関税」「固有の物品にかかる関税だけでなく、関税全体」といったニュアンスを含んでいます。

一方、Dutyのほうは支払う関税金額そのものを指すことが多いため、Duty free(免税)、Duty drawback(関税払い戻し)などにも使われます。

支払う関税金額そのもの、という場合はDuty、関税体系や関税分類のなかに含まれるものとしての関税という場合はTariffというのが細かく分けた場合の使い分けの基準となります。この辺は日本語にはない使い分けになるため、各国でどのように使われているのかケースバイケースで比較してみるしかありませんが、国によっては英語が母語ではないことも手伝い、余計に使い分けは難しくなっています。「関税率」についてはTariff rateとDuty rateのどちらも使われますが、個別物品の関税率というだけでなく関税分類の全体を示す意味を含むような場合、Tariffのほうがしっくりくる表現になります。

実務上、使い間違えたとしても、業界関係者にとっては何かしっくりこない、と感じる程度で意味を取り違えられるような違いはないというのが結論です。

関税のコスト計算や貿易、通関に携わる仕事をしているのであれば使い分けにこだわってみるのもよいかもしれません。

Duty Tariff
個別に製品に課せられる関税金額、関税そのもの。ある品物にかかる関税そのものを表現するような場合によく使われる。 関税表や関税体系のなかの関税、固有の物品にかかる関税だけでなく、関税全体、関税全般といったニュアンスを含む。制度や仕組みとしての関税に言及するような場合にも使われる。
用例:Duty free, Duty drawback, Duty rate, Import duty, Export duty 用例:Tariff rate, Tariff schedule, Tariff line, Tariff Jump, Tariff elimination, Tariff quota

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