該非判定書はどこが出すべきか

2015年1月26日更新

該非判定書は日本から輸出されるほぼすべての物品について守ることが要求される「輸出貿易管理令」のために使われるもので、有体にいえば、輸出にあたって特別な許可が必要な物品ではないことを証明するためのものです。非該当証明書とも呼ばれます。内容としては、輸出貿易管令の別表1にある第1項から第15項には該当しないという旨が書かれてあれば、あとは書式等は自由な至ってシンプルな書面です。

輸出貿易管理令には、「リスト規制」「キャッチオール規制」という二つの規制があり、軍事転用によって大量破壊兵器やそれに類するものに使われるおそれのあるものを別表1の第1項から第15項にわたる「リスト」としてまとめています。このリストに載っている物品や技術を輸出する場合には、それぞれの物品や仕向国ごとに定められた許可を事前に得る必要があります。主に先端技術、軍事技術等のみにかかわると思われがちですが、日本では一般的な技術の範疇と思われるような工業技術の産物でも、このリストに掲載されていることがあります。リストに掲載されていると、経済産業省の許可を受ける必要がある為、その必要がないものであることを証明するために「該非判定書」や「非該当証明書」が使われます。

輸出者が管理することが多いが、発行は製造元となるメーカー

こうした事情から、製品(物品)の技術的な内容、使われている技術や素材・加工手法に関する内容など、製造者ではないと本来把握が難しい情報が必要になる為、ほとんどのケースでは製造者(メーカー)が該非判定書や非該当証明書を発行しています。

商社などの輸出件数の多い会社の場合、自社独自の非該当証明のフォーマットを持っていることも珍しくなく、それらにサインするだけで事足りるような証明書もあります。

製造者が自ら輸出している場合は、製造者=輸出者ですが、商社など別の会社が仕入れて海外へ転売するような場合は、輸出者が該非判定書の管理を行います。

該非判定書が出せないといわれた場合

該非判定書が出せない、というメーカーと取引する場合、かわりに輸出者が該非判定を行うことになりますが、それに必要な情報のすべてをメーカーから開示してもらう必要があります。図面や仕様書、材質・素材情報、加工方法・製造方法等、場合によってはメーカー側のノウハウとされる部分についても判定に必要となることがあります。こうした情報も開示しない、ということであれば、その製品の輸出は日本からは厳密に言えばできません。

輸出貿易管理令は、日本の輸出規制のなかでも最も広範囲に対象が及ぶ規制であり、罰則も非常に重いものとなります。

「税関で指摘されなければよい」ということを主張するメーカーもありますが、こうした主張はこの法律の趣旨とはずれていますし、税関から非該当証明の提示を求められる物品とあまり指摘がなされない物品があるのは確かですが、それらにかかわらず、輸出者や輸出品を製造しているメーカーとして、非該当証明の発行と管理を行っていくことは最低限必要な責務ともいえます。

輸出品を取り扱っている場合、メーカーとして出せない、あるいは非該当証明を輸出者が発行するのに必要な情報も開示できないという会社とは取引が著しく困難になります。

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