図面での公差の書き方|寸法公差の表記と見方について

2017年12月18日更新

図面に記載されている公差(こうさ)とは、指定した寸法に対してどれくらいのズレが許されるか、その上限と下限の差を示したものです。公差と寸法公差は同じ意味です。図面での公差の書き方、見方には決まったルールがありますので、以下に見ていきます。

図面での公差表記方法を見ていく前に、基本的な部分をおさらいしておきます。そもそも公差とは何を意味するのでしょうか。

たとえば、図面に100mmと記載されている箇所があり、この部分の公差が100±0.3となっているとします。

この場合、この箇所は、100.3mm〜99.7mmの間におさまるように仕上げて欲しいという意味となります。

プラスのほうを最大許容寸法、マイナスのほうを最小許容寸法と呼び、最大許容寸法−最小許容寸法=寸法公差となります。この例で言えば、100±0.3なので、100.3 - 99.7 = 0.6mmが寸法公差となります。図面の指示上、許されるズレの幅が0.6mmであるということになります。

寸法公差の意味

公差はどんなものにも存在しますが、それは、例えば上記の例で言えば、100.00000mmのものを仕上げるというのは極めて困難であり、よしんばできたとしても、非常にコストと労力がかかります。今もっている設備では、加工はおろか、測定すらできないかもしれません。そもそも、それだけのピンポイントでの精度がその部品なり製品なりに必要なのか、ということにもなります。機能上のスペックを満たすことができれば、あとはコストや価格をいかに安くできるかというのはどんなメーカーでも至上命題となる事柄です。

公差の表記方法

話が少しそれましたが、寸法公差の表記方法にはいくつかルールがあります。図面の該当箇所に直接記入する場合、以下のような表記方法になりますので、この見方を覚えておくと何かと便利です。

上限、下限が同じ値の公差の書き方

100 ±0.3

指定された寸法に対し、上限と下限が同じ値だけ上下にふれています。この場合、最大許容寸法100.3から最小許容寸法99.7の間におさまっていればよいということになります。なお、上限と下限で同じ値を指定する場合は、以下の例にように二段にわけて書かず、±でつなぐ決まりになっています。

上限、下限が異なる場合の公差の書き方

  +0.3
100 -0.5

図面表記の寸法に対して、上限と下限で許容される幅の大きさが異なるケースです。上限は、100.3mmで先の例と同じですが、下限は99.5mmとなり、少し許容される幅が広くなります。図面にこのように書かれている場合は、100.3mmから99.5mmの間に寸法が入っていればよい、ということになります。

下限が0の場合の公差の書き方

  +0.3
100 0

上記までの例では、上限、下限ともに数値が入っていましたが、この例では下限が0となっています。つまり、100mmより小さい値は許容できない、という指定です。最大許容寸法が100.3mmで、最小許容寸法は100mmジャストです。この範囲に寸法が入っていれば合格ということになりますので、100mmを下回る、例えば99.9mmであった場合は不合格となり、図面の要求を満たせないことになります。

なお、0の前にはマイナスやプラスなどの記号はつけない決まりになっています。

上限が0の場合の公差の書き方

  0
100 -0.3

上記とは反対のケースです。最大許容寸法が100mmなので、100.1mmのものはNGとなります。最小許容寸法は99.7mmとなるので、100〜99.7の範囲に寸法をおさめる必要があります。

上限と下限が双方プラスの公差の書き方

  +0.2
100 +0.1

上限と下限が指定された寸法よりも両方ともにプラス目になっているケースです。この場合、許される最大が100.2、最小が100.1となりますので、寸法は100.1〜100.2におさまるよう加工してくださいということになります。

上限と下限が双方マイナスの公差の書き方

  -0.1
100 -0.2

上限と下限がともに指定された寸法よりもマイナスとなるケースで、この場合、最大許容寸法99.9となり、最小は99.8となります。したがって、寸法は99.8から99.9におさまっている必要があります。

なお、公差の表記ルールにはいくつかの注意点があります。上段と下段に上限、下限を分けて書く場合、下の段にはより小さくなる寸法がくるようにします。

図面上の長さを示す値は基本mm(ミリ)が単位となっているため、基準となる指定寸法と公差も共に同じmm単位での表記となりますが、角度の場合は、度(°)のほかに分(')と秒(")を状況によって使うことができます。このため、角度公差の表記にも度や秒を使う場合があります。

角度の公差の書き方

  +0.1°
100° -0.2°

このように、単位を同じ°に統一して表記する方法が最も多く見られます。

角度公差に分を使っての書き方

100° ±0°10'
100° ±1°10'

1°(1度)は60'(60分)となりますので、上記のように°に統一できない場合は、分を使って公差指定することも可能です。

    

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