ダイヤモンド切断砥石の特長

2011年8月8日更新

ナイフなどの刃物と違い、ダイヤモンド切断ブレードや切断砥石は無数の砥粒で対象を切断する工具です。最大の特徴は、より硬い素材に対しても高効率で切断ができるという点で、ハイス鋼などの刃物では切断できないものも加工可能です。また微細な線幅で切断する必要があるような加工でも、刃を極限まで薄くすることができる(電鋳などを用いて製造された場合)という特徴もあります。

切断工具を選ぶ場合、砥石系のものがよいか、刃物系のものがよいのかはほとんどの場合、切断するワークの種類・材質と使う工作機械によって決まります。刃物系はどちらかというと軟らかめの素材から中程度の硬度を持つワークによく使われてます。刃物系は「刃」が単体でワークに作用するため、切断効率がよいものの、刃そのものを大きく超える硬さを持つ素材の切断では、刃が欠けたり、加工効率が落ちていきます。また硬くて脆い材料、ガラスや石材などにも限られた例を除きあまり向きません。砥石系の切断工具は、砥層部分にダイヤモンドかcBNが入っていますので、これらの粒がそれぞれ欠けたり、生え変わる(自生作用)ことで、対象を切断していきます。砥粒そのものが非常に硬いだけでなく、加工物を少しずつ削っていくことで切断を実現するため、チッピングなどの問題も硬脆材料に対して起こしにくいという点も特徴として挙げられます。

切断砥石には、作用する砥層がチップに分かれている、あるいはリムの部分にスリットが入っているものと、外周をすべて砥層がカバーしているタイプとがあります。チップがそれぞれ分かれているタイプのものをセグメントタイプと呼ぶこともあります。両者の違いとしては、砥層がセグメントに分かれているものは主に切れ味を上げるために砥層一つ一つにかかる圧力を上げるという狙いがあります。ただ、これはスリットの数やセグメントの数が加工条件とワークの材質にあわないと、チッピング(ワークの欠けや砥石自体の欠け)等を起こす可能性もあるため、よくよく検討が必要な項目です。適度なスリットやチップの数は砥石メーカーのほうで様々なケースを扱っているため、どのようなものがよいかわからない場合は、実績のあるメーカーに相談してみるのが良いでしょう。なお、切断砥石は「真っすぐ切る」ためのものなので、振れが発生していると切断面がゆがんだり、ワークが破損したりすることがあります。振れが発生した場合は、砥石の縦方向に振れる「外周振れ」なのか、面(横方向)の側に振れる「面ブレ」なのか、あるいはその両方なのかをまず見極める必要があります。次に、ワークの切断面がどのようになっているのかを見ておくのも重要です。切断砥石のあたりはじめと、ワークから抜けるときだけ広くなっている場合は「面振れ」が発生していることになります。

振れの原因はいくつか考えられますが、砥石そのものに由来しないものもあります。例えば機械側の振れ、機械の据え付けの問題、砥石と機械の取り付けが不適合、などのケースも考えられます。

特に精密な切断に使うことの多い工具のため、良いメーカーのものはあまり不良品ということは少ないですが、わずかな隙間や台金についてしまった傷等でも振れは起きることがあるため、振れが発生してしまった場合は一つ一つ原因を探っていくのがよいでしょう。なお、切断砥石は「あさり」といって、台金よりも砥層の幅のほうが厚めにつくることが多いです。またバックテーパーを付けて切断中に台金がワークに触れないよう工夫されています。

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