3Dプリンターのメーカー|3Dプリンターを製造・販売する日本、海外メーカーの一覧

2014年12月8日リンク更新

3Dプリンターとは、主にABS樹脂や紫外線で硬化するタイプのアクリル樹脂を材料に、データを入力することで3次元形状のものを作り出す造型機のことを指します。

これ以前にも、切削や旋削をはじめとする機械加工の世界では、やはり3DのCADデータをもとにNCプログラムを作成し、多軸マシニングセンタなどに転送することで加工を自動で行い、一定時間経過すると、複雑形状の3次元の造形物が出来上がっている、というものはありました。

技術革新の象徴ともなった3Dプリンター

3Dプリンターは米国大統領の一般教書演説でも例として引き合いに出されるほど近年の技術革新を象徴する製品の一つですが、まず機械そのものが従来の切削による3次元造形と比べ、価格が安いものであれば数万円から高価なものなら数百万までその幅が広い点が違います。もっとも、マシニングセンタに比べれば、ハイスペックのものであっても価格は低価格の部類です。

切削による3D加工は主に金属材料での使用を想定しているため、一概に3Dプリンターと比較するのは難しい面もありますが、プラスチックや樹脂で作られた模型や部品の多くは、高価な金型を設計・製造し、それをもとに試作や量産を行っていくスタイルのため、専用の製造設備・工場が必要でした。3Dプリンターの登場により、CADデータを入力し、材料をセットすればオフィス内や家庭内に卓上で設置でき、製作が可能となっています。

試作品から中量産品まで金型不要で製造可能

プラスチック製品の大量生産を前提としたインジェクションに比べると量産性は及びませんが、試作などや中量評価用のものなどでは金型が不要という点が納期面・コスト面に大きく影響してきます。

医療、建築、教育、製造業各種での試作・モックアップ、治具、サービス、ホビー産業などで用いられています。フィギュア、ジオラマ、建築模型、製品模型、医療用での患部のモデルなど考えられる用途は産業分野全般と広範囲に及びます。

3Dプリンターで採用されている主な製法

製法としては、3Dプリンターのヘッドから、溶かした樹脂を少しずつ噴出させ、薄い層(レイヤー)を積み重ねるようにして形を作っていく積層造形が一般的です。大別すると、3Dプリンターには、造形方法からわけると光造形、粉末造形、FDMの3タイプあります。

また、このうち、樹脂をどのように硬化させるのかによっていくつかの方式に分かれます。紫外線で硬化させていく方法、レーザーなどで焼結させる方法があります。

ただし、3Dプリンターを使って意のままに製品が作れるようになるには、装置の性能もさることながら、樹脂の性能を理解した上で、装置を使いこなせねばなりません。商業ベースで市販されるような樹脂製のオブジェクト、フィギュア、玩具などのレベルのものを作るのは樹脂材料・プラスチック等を使った製品製造経験でもない限り誰でも簡単に作れるというわけには行かないのが実情です。

3Dプリンターの各メーカー情勢と市場規模、マーケットシェア

3Dプリンターのメーカー数は、以前は、米国のベンチャー企業による開発・製造・販売がメインで、ベンチャーも合併・買収などにより勢力図は刻々と塗り替えられている現状ですが、日本製の3Dメーカーも登場し、市販されるようになってきています。

シェアは変化しつつありますが、現在世界の2強といわれるのが、米国の3D Systems(3Dシステムズ)、同じく米国でイスラエル系のStratasys社(ストラタシス)の2社です。

ストラタシスは米国のミネソタ州にありますが、イスラエル系の3Dプリンターメーカーで、同じく大手の3Dプリンターメーカーでもあったオブジェットと合併しました。これにより、同社が3Dプリンターメーカーの最大手となりましたが、次いで3D systemsも大手の一角だったZコーポレーションと、個人向け小型プリンター大手のメーカーボット(Makerbot)など合計9社を買収しています。この二強陣営が激しく競り合う中、新興のベンチャー系も次々と立ち上がっています。

3Dプリンターそのものの市場規模は2012年で22億ドルと試算されており、日本円に換算すると凡そ2100億円前後となります。これは、2017年には60億ドル、21年には108億ドルとの予測もあり、機器の更なる普及によって市場が拡大するとの見込みもあります。これが正しいとすれば、5年後の2017年時点で、3Dプリンターの市場規模は5700億円にもなり、将来的には1兆円を超える市場規模を持つということになります(素材、ソフトウェアなど3Dプリンターに付随する消耗品、材料の市場も含む)。

キーエンス
同社の展開するAgilistaは国産の3Dプリンターで、オフィスにおけるタイプ。数少ない日本製の3Dプリンターとなる。インクジェットノズルで紫外線硬化性樹脂を塗布していき、UVランプにより硬化させ層を形成していく積層型。
Hotproceed(ホットプロシード)
日本国内では初となるRepRap3Dプリンター「Blade-1」(ブレイドワン)を製造・販売。積層型。光造形式3Dプリンタ「B9Creator」は、プロジェクターから投影されるデータを元に光硬化樹脂を一層ずつ固めながら立体を造形していく。
オープンキューブ
日本製パーソナル3Dプリンタ「SCOOVO C170」を製造販売。C170は、最少積層ピッチ100μ(0.1mm)、最大造形サイズ175×150×150o(高さ×幅×奥行き)まで対応可能な機種。
Stratasys社(ストラタシス)
米国Stratasys社(ストラタシス)は3Dプリンターのメーカー。世界最大手。同社の3Dプリンターは溶解体積方式(積層式)であるFDM式の機種と、インクジェット方式のものがある。ホビー用などで使う卓上で小さな機種から、試作用モックアップなどに使うタイプ、生産で用いるタイプなど大きく3分類できる。3Dプリンターメーカーのオブジェットと合併した。
3D Systems(スリーディー・システムズ・ジャパン)
米国にあるラピッドプロトタイピング(光造形=SLA、レーザー溶融粉末造形=SLS、3Dプリンター=MJMなどの積層造形技術)の総合メーカー。SLSシリーズ、小型から大型まで幅広い機種があるSLAシリーズ、パーソナル型のProJet1000/1500などをラインナップに持つ。3Dプリンターのベンチャーを40社以上買収し、それらのブランドも傘下に。最大手のストラタシスと競り合っており、同社が世界最大の3Dプリンターメーカーとの試算もある。
MakerBot(メーカーボット社)
デスクトップ型の3DプリンターであるReplicator2を製造・販売する先駆け的存在の米国メーカー。様々な卓上型3Dプリンターのモデルともなっている機種。米国の大手3Dプリンターメーカーである3Dシステムズの傘下に。
Pirate3D Inc
BUCCANEER 3Dプリンターを開発。クラウドWifiやモバイル機器からのアクセスが可能なタイプ。Replicator2への対抗モデル。
PP3DP社
中国の3Dプリンターメーカー。UP! Plus、UP! miniといった卓上型の機種を世界各国に展開。
DWS
イタリアに本社を置く3Dプリンターメーカー。ジュエリー用、歯科用、工業デザイン用を想定したそれぞれの機種をラインナップとして取り揃える。DIGITAL WAXシリーズ。
Leagfrog(リープフロッグ社)
CreatrとXeedの二種類の3Dプリンターを製造販売するオランダーのメーカー。ABS樹脂のフィラメントも各種取り扱う。
Solidoodle
米国の3Dプリンターのベンチャー。Solidoodle 3D Printer 2nd Generation(499ドル)、Solidoodle 3D Printer 3rd Generation(799ドル)といったパーソナル型卓上モデルを展開。
LULZBOT
米国のAleph Objects社が展開する3Dプリンターのブランド。
Ultimaker(アルティメイカー社)
オランダの3Dプリンターメーカー。3000台近く販売実績。卓上型。
EOS
ドイツ発祥の3Dプリンターメーカーの一つ。レーザー焼結タイプ。3Dプリンターの草創期には、3D systems社にラピッドプロトタイピング用のStereosの生産ラインを売却。3Dプリンターが注目される以前から両社の間では特許をめぐる係争がある。
B9Creations
デスクトップ型の3DプリンターであるB9 Creatorを製造・開発・販売。同社のYoutubeチャンネルで組み立て方などが紹介されている。

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