ファイバーフロー(鍛流線)とは

2013年1月4日更新

金属は結晶組織によって構成されていますが、加工した際にはこの結晶がつぶれて引き伸ばされたり、寸断されたりします。この金属組織のもつ流れをファイバーフロー、もしくは鍛流線といいます。金属の強度を見定める上では大切な概念の一つです。

木材には木目があり、方向によって強度が異なることは広く知られています。金属にもこれに相当するものがあり、それがファイバーフローというわけです。

ただ、金属の強さを表す指標にはいくつも種類があり、このファイバーフローの違いによって具体的に数値が動くのは、伸び、絞り、衝撃値など、主に靱性と呼ばれる、金属の粘り強さ、衝撃への耐性などを見るためのパラメータです。引張強さや降伏点といった機械的性質は、ファイバーフローがどちらに向かっていてもあまり変わりません。

より衝撃に強くしたい、つまり靱性を高めて耐撃性の高い鋼材が必要なのであれば、ファイバーフローに沿うように負荷がかかる作りにするとよいでしょう。ファイバーフローに対して直角に力が加わるときよりも、その流れに沿うように力が加わったときのほうが、より粘りのある性質を見せます。

鍛造で行う鍛錬にも複数の方向から金属を鍛えていくこともできるため、成形を行う際にも、不用意に切削や研削で削ってしまわず、鍛錬で寸法成形を行うことで、ファイバーフローを切らずに活かしたまま部材にすることも可能です。状況によってはこのほうが強度のある材料として使うことができます。

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