金属の疲労強度、耐疲労性

2013年1月5日更新

金属の疲労強度は一定の力が無限回繰り返しかかったとしても部材が壊れない力はどのくらいかを示す指標です。疲労強度は引張強さと相関関係にあり、引張強度の高いものほど疲労強度も強くなります。

一般に、鉄鋼の場合は生材の状態で、引張強さの約50%(熱処理したものなら約45%)が疲労強度といわれています。

引張強さと硬度があるレベルまでは相関関係にあるため、ブリネル硬度(HBS)の450程度までならば、硬度の高いものほど疲労強度に優れているということがいえます。これ以上になると、材料の脆さや残留応力の関係で、引張強さが伸びていかないため、疲労強度も相関しなくなります。

疲労強度の高い鋼材を得る場合には、熱処理でHRC40〜45を狙い、表面の平滑性を維持しつつ、残留応力は圧縮方向のものを与えるような加工を施すのがよいとされますが、部材の大きさによっては焼入れがうまく入らず、HRC45を実現できないこともあります。こうした場合は、鋼種を変更し、より焼入れ性の高い合金鋼などの使用も候補としてあがってきます。

このような事情から、疲労強度、耐疲労性の向上には熱処理が非常に大きなウェイトを占めることがわかると思います。生まれの成分がよい鋼を使っても、熱処理の入り方次第では、十分な疲労強度を引き出すことができないということです。

なお、金属は寸法が大きいほど疲労強度もそれに応じて低下していきます。かかる力の種類によっても変わり、曲げに対する疲労、ねじりに対する疲労であれば、20%以上低下することも珍しくありません。引張疲労、圧縮疲労の場合は、寸法の大小によってあまり違いが出ないとされています。

スポンサーリンク

>このページ「金属の疲労強度、耐疲労性」の先頭へ

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集