冷間加工と熱間加工の違い

2012年12月23日更新

鉄鋼材料の分類を見ると、熱間加工されたものと冷間加工されたものとで規格が別々になっていたり、どちらが一方が指定されていたりすることがあります。これらは具体的に何が違うのでしょうか。

鉄鋼材料は板材や棒材など、ある決まった形に加工することで流通し、利用可能となりますが、この形状に加工する際には圧延や引抜き、プレス、鍛造、押し出し加工といった塑性加工を行いますが、このときにかける温度の違いにより以下の二つの方式が存在します。

冷間加工

主に720℃以下で加工する方法で、鋼の持つ金属組織が緻密になる特徴を持ちます。金属に過度の温度をかけないため、精度の良い加工が可能となります。また金属に力を加えると硬化していくという加工硬化が促進されるため、材料が硬くなります。

但し、加工をするほどに内部に歪みが生じるため、残留応力が蓄積されたり、粘り強さが減少したりといった弊害もあります。さらに、金属がやわらかくなっていない状態での加工のため、大きな力をかける必要があります。

熱間加工

900℃〜1200℃で加工する方法で、金属の再結晶温度以上の高温で行うため、加工がしやすい手法です。また、加工硬化を意図的に起こしたくない場合にも有効です。変形に要する力も少なくてすみ、残留応力も少なくなります。

加工性がよく、量産にも向いたコストパフォーマンスのよい加工手法である反面、表面平滑度を上げたり、精度の高い加工が難しいという難点があります。また薄い加工も難しくなります。

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