錆の色や種類|金属による錆の違いについて

2017年12月18日更新

錆とは、金属が腐食することによって作られる腐食生成物のことですが、その種類は色で見ても成分で見ても多岐にわたり、例えば色だけでも赤錆、黒錆、白錆、緑錆、茶錆、青錆、黄錆など様々な色があります。これら色の錆は種類も同じではなく、成分は金属によっても生成過程によってもそれぞれ異なります。同じ白錆といっても、アルミと亜鉛では発生経緯や成分が異なり、鉄鋼材料でも稀に白錆が見られることがありますが、これも成分は異なります。

錆の種類を見ていく場合、その分類方法によっておおむね以下のようなわけ方ができます。

  • 錆の色による分類
  • 錆の成分による分類
  • 錆が発生する金属による分類
  • 錆が発生するメカニズムによる分類

錆を作り出す腐食の種類

先に述べた錆の色や成分だけでなく、錆はその発生するメカニズムによってもいくつかの種類に分けることができますが、これは「錆」そのものというよりは、錆が発生するパターンの分類といってもよいかもしれません。

こうした分類の場合、錆は腐食によってできる生成物ですが、その腐食するパターンというほうがしっくりきます。

例えば、異なる金属を接触させておくと錆が発生してしまう異種金属接触腐食、あるいはガルバニック腐食といったものや、孔食といわれる、表面に孔があいたように見える局部腐食、酸素濃度の違いによって起きる酸素濃淡腐食、水中と大気中の境界部分に見られる水線腐食があります。

また、金属間や金属と非金属の間にできる隙間腐食、ステンレスの錆でよく見られる粒界腐食、合金などの金属のうち特定の成分だけが腐食し溶出していく脱成分腐食(脱亜鉛腐食、黒鉛化腐食、脱アルミニウム腐食など)、潰食ともエロージョン・コロージョンとも呼ばれる水や液体、泥水、スラリーなどの流体による機械的侵食と腐食が同時進行する腐食もあります。

硫酸塩還元菌や硫黄酸化細菌、鉄酸化細菌、マンガン酸化細菌などのバクテリアによる微生物腐食、高温環境で起きる高温腐食、電解腐食の一種であり土中などにもれた電流が原因で起きる迷走電流腐食、酸によって起きる腐食である水素発生型腐食や硫酸露点腐食、炭酸腐食もあります。

このように錆を作り出す現象としての「腐食」にもいくつものパターンがあり、現代の科学では完全に解明されていない部分もありますが、錆の発生原因や錆が生まれる理由についての理解を助け、錆の防止方法や抑制方法を考える上での一助ともなります。

錆の色、金属による錆の種類

錆を成分や発生する金属で見た場合、あるいは発生メカニズムごとの詳細な種類については、各金属の錆のページで紹介していきますが、錆は慣習的にその色で呼び習わされているため、錆の色ごとのどのような種類があるかを以下に見ていきます。

金属による錆の色の違いと種類
錆の色、種類 錆が発生する金属
赤錆 鉄、銅
青錆 銅(青緑色)
緑錆 ニッケル、鉄(ただし空気に触れると赤褐色へ変わる)、銅
黒錆 鉄、銀
白錆 アルミニウム、亜鉛
茶錆 鉄、銅
黄錆 鉄、亜鉛めっき処理した鋼板

赤錆

鉄、鉄鋼、銅、銅合金で見られる錆です。赤色というよりは、赤褐色のもののほうがよく見られるかもしれません。一般的な炭素鋼であれば、赤錆は水酸化第二鉄やオキシ水酸化鉄、酸化第二鉄といった成分となります。鉄鋼材料に発生する赤錆は、材料を少しずつ侵食していきますので、そのまま進行すると材料を劣化させやがてはボロボロにしてしまいます。

ただしこれにも例外があり、赤錆がさらに変化し安定した保護皮膜のように材料自体を守ることがあります。例えば鉄鋼のなかでも、耐候性鋼はもともと表面に耐食性の錆層を形成し、それによって錆の進行を極めて遅くするという発想の材料です。当初は赤錆であった部分が、やがて「こげ茶色」や「黒に近い褐色」といった錆に変化して材料を守る皮膜となります。赤錆のままでは効果はありませんが、耐食性のある緻密で非晶質の錆の層ができれば、本体となる鉄鋼の腐食をきわめて低いレベルに抑えることができます。

一方、銅に発生する赤錆は酸化第一銅を主成分としますが、この錆はもともと保護皮膜として銅の本体を守ります。錆自体が耐食性を持っており、大気中のほか水のある場所や海水に対しても腐食をある程度防ぐ機能を持ちます。

青錆

青錆は、緑青(ろくしょう)の名称で知られる銅に見られる錆です。銅の錆はまずは酸化銅ですが、その上に形成される錆が緑青です。もともとは顔料の名前でしたが、転じて、今は錆の名称として使われています。緑青の成分は、いずれも塩基性塩で、同じ色をしていて同じ銅に見られるものでも異なるケースがあります。よく見られる緑青としては、酸化第一銅が酸素や水、二酸化硫黄と反応して塩基性硫酸銅(CuSO4・3Cu(OH)2)となったものです。これはブロカンタイトとも呼ばれます。ほかにも、塩基性炭酸銅や、塩基性塩化銅、塩基性硝酸銅、塩基性酢酸銅も、「緑青」の名称で呼ばれる青錆です。

緑青にも耐食性があり、銅を腐食の進行から守る保護皮膜としても機能します。

緑錆

青錆との境界がわかりにくいですが、銅で見られる緑青は緑錆でもあります。詳細は青錆の項目で述べたとおりですが、銅に出る緑錆は「パティナ」とも呼ばれます。 鉄における緑錆というのは、酸素の少ない場所にて稀に見られるもので、空気に触れるとすぐに赤褐色の赤錆に変化します。

銅における緑錆、すなわち緑青は生成された際の環境によってブロカンタイト、マラカイト、アズライト、アタカマイトといった複数の形をもちます。絵の具や塗料・顔料の材料としても知られていますが、錆としての緑青は本来生成されるのに時間がかかります。最初に赤褐色の酸化第一銅が生成され、この酸化第一銅が周辺の雰囲気にある酸度、水、亜硫酸ガス、炭酸、窒素酸化物などと反応し、さまざまな緑青が作られていきます。

ニッケルは、錆に強い耐食性の高い金属です。多くは、ニッケル合金の形でインコネル、ハステロイ、モネルメタルなどの金属として使われています。身近なところでは、50円玉や100円玉はニッケルを含んだ銅合金です(白銅)。500円玉も洋白と呼ばれる銅合金が使われており、中にはニッケルも含んでいますが、これらが錆びた際、銅に由来する緑青なのか、ニッケル自体の錆かは見分けが困難です。ニッケルを使った合金は高価な工業材料でもあり、ニッケル自体の錆を見る機会は稀かもしれません。

黒錆

鉄に発生する黒錆は、酸化物の皮膜であり、錆の発生の際に水が関わらない「乾食」と呼ばれる錆で、高温に加熱することで鉄の表面に生成されます。錆という名称でありながら、鉄本体への侵食を抑える機能を持つため、良性の錆などとも言われます。その成分は、主として、四酸化三鉄(マグネタイト)となります。

銀で作られたスプーンや食器、ペンダントなどの銀製品が黒ずんでしまうことがありますが、これは銀の表面に生じた硫化銀や酸化銀となります。錆として銀の内部まで侵食しているわけではなく、見た目は悪いですが、銀そのものを破壊してしまうようなものではありません。昨今、銀製品の多くは、シルバーの銀白色の輝きを損なわないようにするため、表面にはさらに耐食性に優れたロジウムメッキを施して黒ずみを防いでいる場合や銀に別の元素を添加して合金化したものを使っている場合もあります。そういった意味では、銀の黒ずみは厳密には腐食というよりは化学変化であって、腐食生成物である黒錆ではないということになります。

白錆

アルミニウムで見られる白錆は、表面に生成された酸化アルミニウムがベーマイト(Al2O3・H2O)、バイヤライト(Al2O3・3H2O)、ギブサイトと呼ばれる水和酸化物に変化したものです。アルミの白錆の下には通常酸化アルミニウムの薄い膜が作られており、これによってアルミ本体は守られていますが、酸化膜が破壊されると本体まで腐食していきます。

亜鉛で見られる白錆は、亜鉛の表面に作られる水酸化亜鉛が二酸化炭素と反応して生成された塩基性炭酸亜鉛(2ZnCO3・3Zn(OH)2やZnCO3・Zn(OH)6・H2O、ZnCO3・Zn(OH)2)と言われており、これが錆を防ぐ機能を持っています。白錆と言われていますが、腐食から金属を守るために作用するため、こちらも良性の錆ともいえます。

茶錆

鉄や鋼の錆は時に茶色の様相を呈しています。これを総称して茶錆と呼ぶこともありますが、これには二種類のタイプがあります。赤錆のように、鉄を侵食し続けて最後には材料そのものを破壊して風化させてしまうような錆と、黒錆のように材料表面に発生して保護皮膜として作用するものとがあります。

前者の赤錆タイプのものは、水酸化第二鉄やオキシ水酸化鉄が代表的な成分となり、色も明るい茶色が主体です。後者の茶錆は、耐候性鋼と呼ばれる塗装なしで長期間の曝露にも耐えられるように開発された低合金鋼に見られることのあるもので、焦げ茶色や濃い茶色をしています。

銅や銅合金に見られる茶錆は、キュプライトとも呼ばれる酸化第一銅を主成分としています。亜酸化銅ともいわれます。赤褐色で、どちらかといえば、赤錆に近いですが、明るい茶色にも見えます。これは保護膜として機能する錆であり、侵食から銅本体を守る機能を持ちます。銅の錆の代表格は、緑や緑青色をしている緑青ですが、これはこの酸化銅の上に作られる錆です。こちらも保護皮膜として銅を守ります。

黄錆

鉄鋼材料に見られることがある錆ですが、実務上は、塗装や塗膜処理にかかわる鉄鋼製品に見られることが多いです。亜鉛めっき鋼板は、リン酸亜鉛処理工程が必要となりますが、この過程で黄錆が発生することがあります。黄錆の成分については諸説あり、FeOOHのオキシ水酸化鉄の場合と、塩基性水酸化第二鉄にも見られるとする説もあります。オキシ水酸化鉄のうち、アカガネイトはかなり明るい黄色と赤色の混ざったような色をしているため、黄錆といわれることもあります。同じ組成のゲーサイトも黄色の錆が存在します。

錆の色はいろいろ

なお、今日では、工業用材料、日用品などをはじめとする多くの消費財に使われる材料は単一の物質から構成されていることは稀で、合金の形や、金属の表面にさらにメッキや塗装、塗膜などの処理をした形で使われています。合金には、合金元素が添加されていますし、メッキや塗装も本体とは異なる物質であり、これらの表面が錆びてみえる場合、本体の材料とは異なる材料が錆びていることもあります。

錆の正体が何か、また発生原因が何かを特定することは錆を防ぐ防錆処理を考える上では不可欠となります。また、放置してよい錆なのか、錆落としが必要なものかの判断材料も必要です。

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