真空蒸着装置メーカー

2011年5月7日更新

真空蒸着を行うには専用の装置が必要となります。真空蒸着装置には、大きく分けると「バッチ式」と「連続式」の二種類があります。バッチ式は、1回の成膜が終わるごとにチャンバーを開放し、再度成膜する場合は、中を洗浄し、ふたたび真空引きを行うところから行う必要があります。また、1回に成膜できる基板や基材は、ドームにセットできる分だけで、材料についてもなくなったら再びチャンバーをあける必要があります。

対して、連続式の真空蒸着装置は、レンズや各種基板などの量産を目的に作られたもので、基板の入れ替えや材料の供給(給材機構)などをある程度備えたもののこと言います。

薄膜を付与することで、ある物体に物理的、光学的、機能的に様々な「付加価値」をつけることができるため、複数の産業分野で用いられるようになりましたが、この膜の特性は膜となる材料の純度や構造だけでなく、成膜を実際に行う装置の性能や扱う作業者の力量にも大きく影響を受けます。

技量について勘案しないとしても、成膜装置の方式や型によってできる膜の特性は異なりますので、どのような薄膜をどういう製造方法でどれだけ製造していくのかという点から検討を行う必要があります。また矛盾するようですが、一方で同じ特性を狙った薄膜を複数の異なるタイプの成膜装置で実現させることも可能です。

実際に購入を検討している装置で、テスト的に成膜をしてもらい、薄膜の特性を分析してみるということはよく行われていますが、ある能力に特化した部分を求めるのか、汎用性を重視するのか等、装置に求めるものを総合的に勘案しておく必要もあるかと思います。

シンクロン
真空薄膜形成装置メーカー。国内トップクラスのシェアを持つ。独自開発のRAS(Radical Assisted Sputtering)方式採用のロードロック式スパッタ成膜装置など、特徴あるラインナップを持つ。真空蒸着装置、スパッタ装置、イオン源など。
オプトラン
埼玉県川越市に本社を置く真空成膜装置メーカー。周辺機器や、真空成膜製品を使用したユニットの製造、販売、輸出入、真空成膜装置のメンテナンスおよびコンサルティング業務を行う。設立直後に、光通信に必要なDWDM方式のフィルター製造を行う光学薄膜装置開発に成功し、とりわけプロセス技術の一体提供で話題に。
アルバック
真空装置とその周辺機器の大手メーカー。ディスプレイ用装置として、スパッタリング装置、インライン蒸着装置、枚葉式プラズマCVD装置、有機EL成膜装置、インクジェット成膜装置などを製造開発。バッチ式、インライン式の双方のラインナップがある。
ライボルトオプティクス
ドイツの光学用成膜装置メーカー。成膜技術を牽引してきたリーディングカンパニーの一つ。
昭和真空
水晶デバイス用、光学薄膜用、電子デバイス用などの総合的な真空関連装置、真空機器のメーカー。成膜装置としては、真空蒸着装置、スパッタリング装置、イオンプレーティング装置など。光学薄膜用モニター(多色式、単色式)、IAD冷陰極イオンソース等も取り扱う。
月島機械
明治38年創業の産業機械メーカー。成膜装置としては、スパッタ装置やプラズマアシスト蒸着装置を手がける。そのほか真空製品として、真空チャンバーやイオンプレーティング装置の製造販売を行う。
新明和工業
航空機の製造技術を礎に特装車、水中ポンプ、機械式駐車設備など、社会基盤を支える様々な製品の創出を行っている機械メーカー。成膜装置としては、光学薄膜市場向け真空成膜装置、装飾膜市場向け真空成膜装置を製造販売。「重合+スパッタ装置」や「重合+蒸着装置」等、自動車ランプの反射膜、 保護膜形成に対応した装置を開発。
中外炉工業
サーモテックのフィールドにおいて、独創技術を生み出す技術立社。プラント、熱処理、サーモシステムなどのエネルギー分野、ディスプレーをはじめとする情報通信分野、環境保全分野を事業軸とする。 低基板温度で低抵抗の透明導電膜(ITOやZnO酸化亜鉛など)が高速で作製できる真空成膜装置を製造開発。

薄膜の特性【参考】

主として光学膜や機能膜として用いられる薄膜材料のバルクでの代表的な特性、物性について紹介します。

酸化物の薄膜

フッ化物の薄膜

窒化膜

炭化膜

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