ADC1の機械的性質、比重、成分、熱伝導率など|アルミダイカストの特徴

2013年5月4日更新

鋳造性のよさ、耐食性のよさに際立った特徴を持つアルミダイカストで、通常のアルミ合金の鋳物ではAC3Aが近い組成を持ちます。成分上は、シリコンとアルミがメインとなるAl-Si系合金となります。別名、1種とも呼ばれます。

ADC1の特徴

耐力が若干低めとなるため、高強度が要求される部材には不向きです。ただ、前述の通り、鋳造性がよいことから、複雑形状や薄肉にもよいとされますが、実際の使用されることは意外と少ない規格材です。

鋳造性は総合的に高く、鋳造割れ性や耐引け性(引け巣の発生が少ない)、湯流れ性、耐焼付け性で他のアルミダイカストより優れた性質を持ちます。また、気密性についてはアルミダイカストのなかでは最高クラスの性能を持ちます。

強度よりも耐食性、耐蝕性が要求される部品に使用されるアルミ合金です。類似の合金としては、A413.0に相当します。

用途としては、自動車でのメインフレームやフロントパネルのほか、ホームベーカリー用の内釜、また建築材料としてエスカレーター部品に使われることもあります。

ADC1の比重

ADC1の比重は2.65となります。

ADC1の成分、組成、材質

ADC1の成分
種類 成分
Cu Si Mg Zn Fe Mn Cr Ni Sn Pb Ti Al
ADC1 1.0以下 11.0から13.0 0.3以下 0.5以下 1.3以下 0.3以下 - 0.5以下 0.1以下 0.20以下 0.30以下 残部

ADC1の機械的性質|引張強さ、伸び、耐力、衝撃強さ、せん断強さ、硬さ

ADC1の機械的性質
種類 ADC1
縦弾性係数(ヤング率)
GPa
-
引張強さ
MPa
290
耐力(0.2%変形)
MPa
130
伸び(50mmでの)
3.5
衝撃強さ
kJ/m2
79
せん断強さ
MPa
170
疲れ強さ
MPa
130
硬度
HRB
38

ADC1の熱的性質、電気的性質|比熱、熱伝導率、熱膨張係数、凝固温度、電気伝導率

ADC1の物理的性質、熱的性質、電気的性質
比熱
J/(kg・K)
963
熱伝導率
W/(m・K)
121
電気伝導率(銅基準)
31
熱膨張係数(293から473K) 21x10-6/K
凝固温度
582から573

アルミダイカストの一覧|JIS規格

スポンサーリンク

>このページ「ADC1の機械的性質、比重、成分、熱伝導率など|アルミダイカストの特徴」の先頭へ

加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
アルミダイカスト(ADC材)の成分と種類、特徴(目次)へ戻る

ADC1の機械的性質、比重、成分、熱伝導率などについての関連記事とリンク

アルミニウム鋳物(鋳造品)の種類と特性
アルミニウムの調質、質別記号の一覧
鋳造と鍛造の使い分け
鍛造と鋳造の違い
アルミニウム合金の特性と種類、用途
非鉄金属材料の種類
アルミニウムメーカー(アルミ合金、アルミ製品メーカー)
アルミニウムの比重、密度の一覧

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集