銀の黒錆はなぜつくか

2018年6月3日更新

銀の黒錆と言われる現象には主として3パターンがあります。オゾンで酸化してしまい、酸化銀によって黒ずみとなったものが一つ。もう一つは、硫化した硫化銀による黒ずみのもの、そして塩化銀が生成されて黒ずんでしまったものです。

銀の黒錆の正体

銀は空気や水と反応せず、酸にもアルカリにも溶けず(塩酸、王水には溶けませんが、硝酸、硫酸には溶けます)、腐食には強い金属ですが、この金属が変色や黒ずみの憂き目にあってしまう要因というのが、上述のオゾンによる酸化と硫黄化合物や硫化水素などによる硫化です。ただこれらが銀そのものを腐食させてしまう錆なのかといえば、見栄えは悪くなるものの、銀自体をボロボロにしてしまう腐食の類ではありません。表面に黒い膜ができてしまっている、というほうが正しい見方です。

硫化の原因

空気や酸素には反応しない銀ですが、空気中には、硫化水素(H2S)や亜硫酸ガス(SO2)が存在しており、これらと水蒸気(H2O)が反応することで、硫化銀(Ag2S)が生成されます。銀の表面が黒ずむ原因のひとつはこの硫化銀であり、最初は灰色等の薄い色であっても、硫化銀の膜が厚くなってくると、黒い膜となり、「黒錆」に見えるようになります。

  • 2Ag + H2S = Ag2S + H2

また、銀の指輪やアクセサリーなどをつけて温泉に入ってはいけないとよく言われますが、これは温泉や家庭用の入浴剤に硫黄の成分が含まれるものがあるため、これらでも銀の表面が反応して硫化膜が生成され、黒錆の原因となってしまいます。

さらにいえば、人の皮膚もたんぱく質であり、これは硫黄を含むアミノ酸で構成されていることから、銀の指輪やアクセサリーを長くつけていると変色の要因になります。

こうしてみると、硫化の原因は日常生活のいたるところにあり、完全に回避することができないことがわかります。

塩素と反応して銀合金の表面が塩化銀に

銀は塩素と反応して塩化銀をその表面に生成しますが、これも黒錆の原因の一つといえます。塩素系漂白剤が銀製品に大敵とされる所以です。この塩化銀は一度生成されてしまうと硬く容易にはとれませんので、研磨などで除去してやる必要があります。

もともと塩化銀というのは白色なのですが、これが光を浴びると黒色に変化してしまうため、銀の変色や黒錆といわれる所以です。

貴金属のなかでも銀が錆や変色しやすいとされるのは上記の「硫化」と「塩化」が原因で、どちらも身近に触れるものから発生しやすいといえます。とはいえ、どちらも除去する方法はありますので、また別の記事にてその原理を紹介します。

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