FCAD1400-1の機械的性質、特徴について|オーステンパ球状黒鉛鋳鉄品、ADI鋳物の種類

2013年8月1日更新

FCAD1400-1は球状黒鉛鋳鉄をオーステンパ処理した鋳鉄の一種です。JISでは5種類が規格化されていますが、なかでもこの材料が最も引張強度に優れます。鋼材でも最小引張強度を1400MPa以上に持つものは限られてきます。非常に強度、靭性に優れているものの、加工のしづらさ、切削性の悪さなどから、難削材の一種でもあります。

オーステンパ処理自体が引張強さや伸びの優れた材料を作ることに長けた熱処理ではありますが、もとの材料である熱処理前の球状黒鉛鋳鉄とは異なる金属組織を持つ鋳鉄でもあります。

FCAD1400-1の成分、材質

成分の規定はなく、以下の機械的性質を満たしていることが規格材としては求められます。

FCAD 1400-1の機械的性質

FCAD 1400-1の引張強さ、耐力、伸び、硬さの規格上の規定
鋳鉄の記号 引張強さ
N/mm2
耐力
N/mm2
伸び
硬さ
HB
FCAD 1400-1 1400以上 1100以上 1以上 401以上

「JIS G 5503 オーステンパ球状黒鉛鋳鉄品」に規定のある材料記号

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