MC12、WE43A(マグネシウム合金鋳物)の物性、成分、組成、機械的性質、硬度|マグネシウム合金鋳物の種類、特性や用途

2013年8月22日更新

MC12はマグネシウム合金の鋳造品のうち、JISで規定された材料の一つです。ASTMでは、WE43Aとして知られます。マグネシウム合金としては、WE系(Mg-Y-希土類元素の合金)となり、レアアースとイットリウムを合金元素として持ちます。ISOではMgY4RE3Zrが相当する合金となります。

特性としては、200℃以上の環境でも使うことが出来、高温環境に長時間放置しても強度の低下がしにくいグレードです。用途としては、航空宇宙用の部品、ヘリコプター用のトランスミッション等があります。JISではマグネシウム合金鋳物12種に分類されています。

MC12、WE43Aの成分、組成

RE※はRare earthの略でイットリウムを除く希土類元素となります。MC12、WE43Aの場合は、質量分率で2.0から2.5%のNd(ネオジム)を含み、その他、重希土類を含むという規定となっています。MC12の場合、リチウムの含有量は0.2%以下に定められています。

MC12、WE43Aの成分、組成
マグネシウム合金鋳物 化学成分
Mg Al Zn Zr Mn RE※ Y Ag Si Cu Ni Fe その他
MC12、WE43A 残部 0.2以下 0.40から1.00 0.15以下 2.4から4.4 3.7から4.3 0.01以下 0.03以下 0.005以下 0.01以下 0.01以下

MC12、WE43Aの引張強さ、耐力、伸び、硬度、熱処理、溶体化処理|機械的性質

MC12、WE43Aの機械的性質
マグネシウム合金鋳物 熱処理、調質の内容 記号、質別記号、調質記号 引張試験 硬度
ブリネル硬さ
HBW
溶体化処理 時効硬化処理
引張強さ
N/mm2
耐力
N/mm2
伸び
温度
±6℃
最高温度
時間
h
温度
±6℃
時間
h
MC12、WE43A 溶体化処理後時効硬化処理 MC12-T6 220以上 170以上 2以上 75から90 527 535 4から8 250 16

MC12、WE43Aの熱伝導率、電気伝導率、熱膨張係数、比熱、比重、密度

熱による影響や電気特性をより詳細に見ていくと以下の通りとなります。

MC12、WE43Aの熱的特性、電気特定、弾性係数など
マグネシウム合金の種類 MC12、WE43A
液相線温度(℃) 640
固相線温度(℃) 550
凝固温度範囲(℃) -
溶融潜熱(kJ/kg・K) -
比熱(kJ/kg・K)(室温) 0.966
熱伝導率(W/m・K)(20℃、砂型) T6: 51.3
電気伝導度(20℃、%IACS) -
熱膨張係数(μm/m・K)(20℃〜100℃) -
比重、密度(g/cm3)(20℃) 1.84
縦弾性係数(kN/mm2)(20℃) 44.2
横弾性係数(kN/mm2)(20℃) -
鍛造温度(℃)
砂型
金型
750から820

「JIS H 5203 マグネシウム合金鋳物」に規定のある材料記号

スポンサーリンク

>このページ「マグネシウム合金の種類、特性や用途についての一覧」の先頭へ

加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
マグネシウム合金の一覧

マグネシウム合金の種類、特性や用途についての関連記事とリンク

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集