ナイロン6とナイロン66の違い

2011年6月17日更新

ナイロンはポリアミド系の代表的な樹脂の一つで、合成樹脂としても広く知られます。このナイロンのうち、現在でも広く普及しているものがナイロン6とナイロン66です。ナイロンは固有名詞のため、本来はPA、ポリアミドと呼ばれるプラスチックになります。

両者の機械的性質、物理的な性質、化学的な性質については大きく違いはありませんが、違いについて挙げるとすればナイロン6はより染色性に優れ、ナイロン66はより耐熱性に優れるといえます。

両者とも吸湿性があるため、これが困るという場合はナイロン12などの別の種類を選ぶ必要があります。

用途は衣服や衣料のほか、内装材、カーペット、網や釣り糸、自動車、歯車などの部品、電気・電子部品の材料などがあります。

ただ元来、樹脂系の材料は耐熱性は弱く、フッ素樹脂のような強いものでも金属やセラミックスには遠く及びません。材料選択の際には、こうした素材が全般的に持つ特徴を念頭に置いて、種類の検討を行っていく必要があります。

ナイロン6の概要

ポリアミドに分類されるプラスチック材料としては、よく使われ、繊維として衣類の多用されるほか、熱可塑性のエンジニアリングプラスチックの代表格の一つです。油に対して強い耐性を持ちます。アルカリ系の薬剤にも強い材料です。

ナイロン66の概要

同じエンジニアリングプラスチックの中でも機械的強度に優れた部類に入り、ナイロン6よりも強度、耐熱性に優れています。また耐油性、耐摩耗性、潤滑性といったパラメータも良好です。

ナイロン6とナイロン66の比較

耐熱性

ナイロン6の融点が225℃(耐熱温度は80〜140℃)に対して、ナイロン66は265℃となります。

機械的強度

引張強さ、圧縮強さといったパラメータはナイロン6よりもナイロン66のほうが強くなります。

耐薬品性

双方ともに強酸には弱く、アルカリには少々抵抗性があります。

吸湿性

どちらも吸湿性がありますので、湿気を吸ってしまってはまずいような状況では検討が必要です。

染色性

ナイロン6のほうが染色性は若干優れています。強度が要求されない一般の衣服用の繊維として適しています。

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