SPBの規格|ブリキ原板(SPB)の比重、板厚、材質、メッキ量

2014年4月3日更新

SPBとはブリキの原板となる低炭素鋼板で、冷間圧延したのちに焼鈍しを行っており、その後さらに調質も施しています。原板には3つのグレードがあり、用途に応じて使い分けられることになりますが、ブリキ以外、例えばティンフリースチールの土台としても使われます。

原板の種類に何を用いるかは、ブリキの性能・特性を決める上で重要な要素となりますが、他に調質やメッキ厚についても、性質には影響を及ぼします。

ブリキ原板の種類

プリキ原板の種類
ブリキの種類 内容
MR 残留微量成分が少ないグレードで、優れた耐食性を持ちます。容器やその他一般的に使われる汎用性の高い鋼材です。
L きわめて優れた耐食性をもつ容器材料として使われます。成分のうち、Cu、Ni、Cr、Moやその他の残留微量成分が特に少ないタイプです。
D アルミキルド鋼に由来する鋼材で、深絞り加工やリューダース模様が発生しやすい加工を行う用途で使います。

SPBの板厚

1回冷間圧延した製品と、2回冷間圧延した製品とがあり、それぞれで板厚の範囲が異なります。

標準のものとしては、下表の範囲にて0.05mmの倍数となります(0.50mm未満の場合は、0.005mmの倍数)。

SPBの板厚
ブリキの種類 厚さ
一回冷間圧延したもの 二回冷間圧延したもの
SPB 0.15mm以上0.60mm以下 0.14mm以上0.36mm以下

SPBの比重

他の鋼板・鋼材系と同じく7.85をベースにしています。

SPBの硬度、調質

ブリキの製法(1回冷間圧延製品か、2回冷間圧延製品か)によっていくつか調質の度合いが決められています。

SPBの表面仕上げ記号

表面仕上げについては、その後にすずメッキを付着させる前提となりますが、下表の分類となります。

ブリキ原板となるSPBの表面仕上げ
圧延回数 仕上げ記号 仕上げ内容 特徴
一回冷間圧延製品 B ブライト仕上げ 細かい砥石目(研磨痕)があるものの、表面は滑らかな仕上げ
R 粗面仕上げ 一定方向に砥石目(研磨痕)が見られる表面仕上げ
M マット仕上げ ダル状表面仕上げ
二回冷間圧延製品 R 粗面仕上げ 内容は上記のRと同様、一定方向に砥石目(研磨痕)が見られる表面仕上げ

「JIS G 3303 ぶりき及びぶりき原板」に規定のある材料記号

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