耐熱鋼、SUHの種類と用途、成分、耐熱温度など

2013年3月15日更新

耐熱鋼はJIS規格においては、耐熱鋼板と耐熱鋼棒と形状に応じた二つの規格が規定されています。記号はSUHではじまるものと、SUS(ステンレス)ではじまるものとがあります。

棒鋼であることや線材であることを示す場合は、下表のような記号を材料記号のあとに付記することで識別されています。

  • SUH31-B 熱間仕上鋼棒
  • SUH31-CB 冷間仕上鋼棒
  • SUH31-WR 線材

※BはBar(バー)の略、WRはWire(ワイヤー)の略。

規格としても耐熱鋼の中に、ステンレス鋼材も入っていますが、これはステンレスが耐熱性とともに、高温になる環境でも耐食性を持つ材料だからです。もともとはステンレスは常温での耐食性についての定義はあるものの、高温での耐食性や機械的強度については規定されていません。

ただ、実際には他の鋼材に比べ耐熱性に優れる一面を持ち、一定の温度域を超えてしまうと軟化したり、機械的強度を急速に失いますが、耐熱温度の範囲内であれば熱に非常に強い鋼材といえます。

耐熱鋼の定義は、高温での耐酸化性や耐高温腐食性、高温強度をもつ合金鋼とされているため、耐食性向上に寄与するクロムだけでなく、ニッケルやコバルトなど合金元素が成分に添加されています。鋼種によっては、規定にない合金元素を別途追加しても良いことになっています。

SUH材もSUS材もオーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系とそれぞれの金属組織に応じた4つの種類に規格化されています。

耐熱鋼の種類、分類
耐熱鋼のタイプ 特徴
オーステナイト系の耐熱鋼 オーステナイト組織を持ち、靱性に優れたタイプの耐熱鋼で、高温強度、高温環境での耐酸化性にも優れています。成形性、溶接性が必要なときにも候補としてあがります。
マルテンサイト系の耐熱鋼 概ね550℃以下の環境ではオーステナイトやフェライト系の耐熱鋼よりも優れた強度を持ちます。
フェライト系の耐熱鋼 熱膨張係数が少ないタイプの耐熱鋼で、熱伝導率が大きく熱応力が小さい特性を持ちます。耐熱鋼ですが、低温度でのクリープ強さや降伏点が高いといった特性を持っています。
析出硬化系の耐熱鋼 熱処理を行うことで析出硬化を可能とする元素が添加された耐熱鋼で、高温強度に優れた耐熱鋼です。

耐熱鋼として規格のあるSUS系の材料

【参考】外部サイト:ステンレス(SUS)鋼の性質、特徴の概要(http://www.susjis.info/)

オーステナイト系の耐熱鋼

フェライト系の耐熱鋼

マルテンサイト系の耐熱鋼

析出硬化系の耐熱鋼

スポンサーリンク

>このページ「耐熱鋼、SUHの種類と用途、成分、耐熱温度など」の先頭へ

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集