高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ材)の用途、機械的性質、成分の一覧

2010年8月14日更新

SUJ材は、SUSやSUMと並ぶ特殊用途鋼です。高C-Cr軸受鋼鋼材と表記する場合もあります。C量は約1%、Crを1%程度含んでおり、耐摩耗性に優れた鋼材です。軸受けによく使われる材料ですが、用途はベアリングに限定されているわけではありません。一部の鋼材については広く流通しているため、低コストで入手できることもあり、求める機械的性質に応じて様々な部品に使われています。ベアリング(軸受け)として使われる場合、大別すると、「すべり軸受け」と「ころがり軸受け」になりますが、これらに求められる性質としては「耐荷重」「耐摩耗性」「焼入性」「耐食性」となります。当該分野のJIS規格である「JIS G 4805:2008 高炭素クロム軸受鋼鋼材」では、下記の4種類について規定があります。

  • SUJ2:一般軸受をはじめ、耐摩耗性が必要な局面でよく使われます。
  • SUJ3:Mnが添加されており、厚肉大物用途で使用されます。
  • SUJ4, SUJ5:Moを添加しており、焼入れ性がよいという特徴を持ちます。高い耐摩耗性を必要とする場合に検討されます。

SUJの研磨・研削加工にはWA系の砥粒を用いた砥石がよく使われますが、工程によりGC系のものが使われる場合があります。超砥粒の場合は例外なくCBN砥石が使われます。損耗や工程、使用頻度などによってどちらが適しているのか検討する必要があります。炭素鋼に比べるとクロムを含有するため研削性は悪い部類です。

「JIS G 4805:2008 高炭素クロム軸受鋼鋼材」に規定のある材料記号

高炭素クロム軸受鋼鋼材の材料記号の変遷
JIS新旧対照表
1950年 1970年 2008年
SUJ1 SUJ1 -
SUJ2 SUJ2 SUJ2
SUJ3 SUJ3 SUJ3
- SUJ4 SUJ4
- SUJ5 SUJ5

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