砥石のなかみ:砥石の三要素

2009年7月1日更新

砥石はシンプルに考えると「砥粒」「ボンド」「気孔」の3つから出来ています。粉状になっている砥粒、ボンドを焼き固めて作ります。気孔はその名の通り、砥石の中に残っている「気泡」のようなものです。これらを「砥石の三要素」と言います。

砥石は、

  • 1.砥粒
  • 2.ボンド(結合剤)
  • 3.気孔
の三つから成り立っています。

それぞれ次のような役割を持っています。

  • 1.砥粒=切れ刃
  • 2.ボンド(結合剤)=切れ刃の支持、固着
  • 3.気孔=切りくずの逃げ

ボンド(結合剤)が砥粒をつかんでいる度合いが「結合度」で、この度合いの違いによって、ボンドの硬さ、ワークへのあたりが変わり、砥粒の脱落の度合いが変わります。ボンドのつかみ具合が硬すぎれば、砥粒の生え変わりともいえる「自生作用」を起こさなくなり、ボンドが砥粒をつかんだままの状態で研削が進むため、砥粒の先端だけが磨耗して切れ味が低下していく「目つぶれ」や、ボンドが硬すぎるため、切り屑で削られず、砥石表面に切り屑が詰まっていく「目詰まり」、ボンドが砥粒をしっかりつかんでいないために砥粒がこぼれ落ちてしまう「目こぼれ」などの現象が起きます。

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また砥層の一定容積のなかに、砥粒がどれだけ入っているのかを表す「集中度(砥粒率)」の違いによって、砥石の組織は異なってきます。超砥粒ホイールは、ボンドにもよりますが二元系といわれる気孔がほとんどないものが一般的です。

砥石はその製造工程で、焼結工程を経るため、砥粒やボンドが熱から受ける影響も無視できません。 高温・高圧で長時間の焼結を行うと砥粒に対しての熱損傷は大きく、ボンドの耐摩耗強度が増加します。結合剤にメタルボンドを用いている場合、合金化します。反対に低温・低圧で短時間の焼結の場合、ボンドの結合度は弱くなり、気孔が多くなります。

砥粒には、ダイヤモンド、CBN、アルミナ、炭化珪素などがあり、ボンドには、メタル(金属)、レジン(樹脂)、ビトリファイド(セラミックス)などがあります。

研削対象や、研削方法、研削条件によって、最適な砥石はそれぞれ異なります。砥石の性能を左右するパラメータとしては、「砥粒の種類」「粒度」「結合度」「集中度」「結合剤」「結合度」があり、研削対象や研削機械の条件にあわせて調整していきます。ダイヤモンドホイールやcbnホイールは特にこれらの5つの要素で砥石性能が大きく変わります。

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