酸化セリウム研磨剤はなぜガラス研磨に使われるのか

2011年10月13日更新

酸化セリウムは特にガラスとの相性の良い研磨剤で、仕上げに近い工程では必ずと言ってよいほど使われています。

なぜガラスとの相性が良いかと言えば、研磨中に酸化セリウムとガラスが化学的に反応しており、単に機械的に研磨材がガラスの表面を削っているだけでなく、この化学的反応によって表面の凹凸をなだらかにしているからです。化学的機械的に研磨する手法のことをCMPといいますが、酸化セリウムを使ったガラスの研磨はこのCMPに近い加工です。

研磨は高精度の世界になればなるほど、機械的な力だけで削るだけでは限界が出てきます。半導体用途のシリコンウエハー等になるとコロイダルシリカなどを使った専用の研磨材であるCMPスラリーを使った研磨加工になりますが、これも機械的に砥粒がウエハーの表面を削っているだけではなく、化学的な反応が起きていると言われます。

このようにガラスと相性の良い酸化セリウムですが、研削砥石のようにホイール形状にして使ったり、布バフのような研磨工具に練り込んでしまうという使い方もできます。加工機械に合わせて様々な使われ方がされている研磨材と言えます。

ただ難点が一つあるとすれば、近年の価格の高騰化です。酸化セリウム(CeO2)は日本国内で使われているもののほとんどが中国からはいってくるものです。日本で研磨材として製品化されるものであっても、原料は中国に頼る必要があります。このため、他のレアアースと同様に中国の意向によって価格が上昇したり、品薄になるなどの事態に頻繁に直面することになります。こうした背景もあり、酸化セリウムを使わず、酸化ジルコニウムで代替したり、あるいは他の研磨材で代用するという試みや研究もなされています。

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