原材料、工具、砥石や研磨材の仕様から技術情報、JIS規格まで。精密用のダイヤモンドホイールやダイヤモンド砥石を中心に研磨研削、加工技術、加工材料、素材に関わる幅広い工業情報を掲載しています。

2024年3月3日更新

ダイヤモンド砥石と普通の砥石の違い

ダイヤモンド砥石は、中にダイヤを含有した砥石の総称で、同じグループにCBN砥石もあります。ダイヤモンドやCBNは非常に硬い物質であり、一般の砥石に含有されるアルミナや炭化ケイ素などを大きく上回る硬度を持つため、工業用として広く使われますが、一般砥石と特徴も異なるため、規格なども区別されています。両者とも「砥石」の持つ物体を削る、磨くという機能においては同じ原理に基づいています。ダイヤモンド砥石のうち、特に研削盤などに取り付けて回転させて使うものをダイヤモンドホイールと呼びます。

砥石の分類
天然砥石 荒砥、中砥、仕上砥など砥石のもつ粗さ(粒度)に応じて各産地ごとに銘柄が存在する。アルカンサス、インディアストーン、黒名倉、青砥、伊予砥、大村砥、天草砥など。包丁や刃物等の手工具を扱うプロ職人に根強い人気。
人造砥石 一般砥石 研削砥石(WA、GC、A、C、PA、HA)、WA砥石、GC砥石。研削砥石は研削盤などで高速回転させて使う。ブロック状、スティック状に加工され、手で使うタイプもある。 ビト(セラミック)
レジン
ゴム
セメント
超砥粒砥石 ダイヤモンド砥石、CBN砥石、ダイヤモンドホイール、CBNホイール。超砥粒を使った砥石。超硬、金属、ガラスなどの硬い素材で威力を発揮する。研磨機や研削盤で使う機械用のものと、手工具・刃物研ぎ用として手で使うタイプのダイヤモンド砥石もある。電着ダイヤモンドを使ったシャープナーもこの類。 レジン
メタル
ビト
電着、溶着

超砥粒ホイールの特徴

超砥粒とはダイヤやCBNを指し、高い精度を要求される研削や研磨加工に用いられる砥石で、非常に硬い加工物や難削材にも向いた専用の工具です。切れ刃となる砥粒にCBNを使った工具も同様に、高精度の研削加工や普通の工具では削りにくい材料に向いています。CBN工具はダイヤモンドが鉄と相性が悪いため、鉄鋼材料の研磨に使われることが多いです。

こうした群を抜いた硬さを持つ「超砥粒」を使ったダイヤモンド工具は、精密加工で用いられるため、精度やスペックも一般砥石とは異なる高い水準が求められます。品質が高いため、価格もそれなりにしますが、廉価なものも出回り始めています。また一般の砥石に比べて高い研削比(砥石の損耗と削られた工作物の体積の割合)を誇るため、効率的で費用対効果の高い加工が可能です。

砥粒にほとんどの場合、安定性の高い合成ダイヤモンドが使われています。発明されたのが1955年、それから数十年後には多くの産業界でこうした工具に使われるようになりましたが、それまではWAやGC、つまりアルミナや緑色炭化ケイ素を使った研削砥石で加工がなされていました。今日でもこれらは改良を重ねられ、高品質なものが各種市場には出回っており、双方うまく使い分けられています。

幅広いスペックの組み合わせと豊富な品種

ダイヤモンドホイールは「粒度」「砥粒」「ボンド(結合剤)」「集中度」「形状」の5要素によって性能を発揮する局面が大きく変わり、様々なワークの加工に適した工具として使えます。使い手の機械や条件にあわせて製作されることが多く、まさに千差万別といえます。

メーカーによってもすべての種類をカバーできる会社は少なく、各々得意分野が分かれていることが多いです。

いわゆるダイヤモンド砥石には、包丁やナイフを研ぐために手で用いるものもありますが、当サイトでは研削盤や研磨機に取り付けて用いるタイプを中心に、その関連情報や技術情報を幅広くご紹介していきます。原理原則についてはどちらも大差はありませんので参考にはなると思います。

業界によって使う機械やその名称も変わる場合もありますが、円筒研削盤、平面研削盤、工具研削盤、万能研削盤、精密研削盤など凡そ砥石を回転させて用いる機械であれば、それらのフランジや取り付け方法、加工対象にあわせてあらゆるタイプのダイヤモンド砥石があります。

機械の種類や加工方法の数だけ種類もあるといえます。カタログ販売などを除くとそのほとんどが受注生産品として出回っています。スペックも振れ精度の大変厳しいものから、許容範囲の広いまでユーザーの数だけあるとも言えます。

メタルボンド
レジンボンド
ビトボンド1A1型
カップセグメント
メタルボンドペレット
軸付砥石
メタルボンド(カップ砥石セグメント)
メタルボンドペレット
薄刃ダイヤモンドホイール

一品一様のダイヤモンドホイール。加工条件に最適なものを。

こうした高い精度を満たす砥石は加工するワークや研削盤の条件にマッチしたものを使うことで最大の効果を発揮します。逆に言えば、いくら高品質をうたい文句にしたものであってもすべてのワーク(加工対象)、機械に使えるものはなく、用途や使用方法によって賢く使い分けることが能率的で高精度な加工につながります。

ただすでにダイヤモンドホイールを使って加工している方はご存知の通り、一旦フランジに取り付けて「振れ」もとって精度を出した砥石を何度も付け替えることは避けたいものです。段取り替えの時間や手間も馬鹿になりません。

とはいえ、現実には機械が存分にあることも少なく、限られた設備で工夫していく必要があります。ある程度汎用性のあるものや、特殊なものをうまく使い分けていくことになると思います。メーカーによってはフランジにダイヤモンドホイールを取り付けた状態で納品してもらえることもありますので(フランジ現合)、何種類か持ちながら効率的に運用していきたいものです。

馴染みのある方には違和感はないと思いますが、砥石に「レジン」「メタル」「ビト」などという言葉がつけられていることがありますが、これらはボンドの種類です。砥粒はダイヤモンドメーカーが砥石の製造会社へ供給しているため、よほど特殊なものでない限り大きな違いは出ません。日本だけでもたくさんのメーカーがありますが、そのノウハウや違いとなる最も重要な部分は「ボンド」です。これは砥粒をつかむ結合材であり、砥石の本体部分でもあります。ボンドが変わるだけで、合成ダイヤモンドがワークに作用する力や挙動が変わります。

一度使ってみて、「切れ味がもっと欲しい」「あたりが少し硬かった」「面粗度がもっと必要」等、こうした要望をまとめて販売店やメーカーへぶつけてみるのも最適なものを選ぶ一助となります。メーカー側ではダイヤモンドやCBNを固着する「ボンド」の種類を各社取り揃えており、用途や性能によりさまざまなものが改良・開発されています。

最良の砥石選び

使われる環境や研削条件、加工対象、作業者が異なれば、最適なものもまた変わってきます。鉄鋼の研削にはダイヤモンドはあわないのでCBNを、短時間でより多くの加工を行なう必要がある場合には、加工時間の短縮につながる切れ味重視タイプ、ライフがもっと必要という場合には寿命重視型の仕様、など当サイトが目的にあった最も良く使える一品を選ぶ一助になれば幸いです。望んでいる仕上げ面を得たり、いかに作業をしやすくするかは加工対象との相性が大きくものを言います。

超硬用のダイヤモンドホイールについて

超硬用ダイヤモンドホイール

炭化タングステンをベースにしており、合金のなかでも特に硬度や密度が高い超硬は、金属というよりは硬脆材料に近い性質を持つワークです。金型やダイピース、部品など幅広い用途のある素材ですが、効率的な加工には一般砥粒よりもダイヤモンドが向いています。粉のような切り屑を排出するこの材料では、金属研削用とは一味違ったボンドのほうがよい場合もあります。超硬用に使われる製品の全般的な特徴についてご紹介します。

超硬用の詳細

ガラス研削用のダイヤモンドホイールについて

ガラス研削用ダイヤモンドホイール

硬くて脆い材料の代表格で、主に面取りや端面、エッジ研磨、コバ磨き、ペンシルエッジ加工で使われます。金属よりも硬く、ガラス特有のハマ欠けやピリなどのチッピング現象があります。またガラスは硬いだけでなく、ダイヤモンドが素材に切り込みにくく、滑りやすい傾向があるため、集中度を下げるなどの特長のある仕様設計がなされています。切断用から面取り用までガラス用について全般的にいえる製品特徴をご紹介します。

ガラス用の詳細

砥石の選び方

砥石の選び方

ワークや環境によって変わるCBNホイールやダイヤモンドホイールを選ぶときの基準について簡単にまとめました。選び方は、使い方以上に大事な場合もあります。その加工に何を求めているのか明確な優先順位をつけて、万能なものよりも、その状況に適したものを選択するとよいでしょう。

砥石選びのコツ

ダイヤモンドホイールの性能

ダイヤモンドホイールの性能要因

性能を左右する5つの要素「砥粒」「ボンド」「粒度」「結合度」「集中度」と切れ味、寿命の関係についてまとめました。これらの5要素は相互に強く影響を及ぼしあいます。また研削条件とも連動しており、原理原則があります。それぞれのパラメータが何に最も影響を及ぼすのか説明しています。

性能を決める5大要素

砥石と研磨のQ&A

ダイヤモンドホイールの質問集

研磨に関連する用語集、Q&A集です。切れ味や寿命、目詰まり、ドレッサー、関連する技術情報やJIS規格等に関する情報を満載。掲載希望される用語やご質問などについても情報をお寄せください。可能な限りお調べいたします。

Q&A集(検索機能付)の目次

用語集の目次

砥石のラベル表示方法

購入されたときについている砥石ラベルの表示方法、検査票の見方についてご紹介。メーカーごとに違う部分もありますが、この検査票への記載される項目や製品箱についている数字と記号の羅列にはあるルールがあります。これさえマスターすれば、使っているダイヤモンド砥石のスペックがわかります。

ラベル表示方法の見方(スペックを見分ける)

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