加工中に砥石のサイズや形状が微妙に変わっているようなのですが

2011年10月19日更新

砥石は損耗することで切れ味を保つタイプの工具であり、損耗しない砥石はすなわち切れない砥石でもあります。ただ、こうした研磨や研削による損耗ではなく、精度が狂うなどの問題が出ることがあります。機械側や砥石側などに振れもないのに、加工精度が狂うというようなときは加工中の高温により砥石のサイズや形状が変わっている可能性があります。乾式による研磨等では特に注意が必要ですが、湿式であっても加工点の温度は砥石を熱膨張させるのに十分すぎるほどの高温になることもあります。

ダイヤモンドホイールなどの台金と砥層部分が別の物質でできているものでは、加工点の温度が台金(多くはアルミ合金)に伝わり、その膨張によって砥層そのものが歪んでしまうケースや、ボンド部分も熱膨張はするので、それによってサイズが変形するケースもあります。

研削や研磨の加工において、「熱」は加工対象となるワークや砥石に様々な悪影響を及ぼし、加工効率を低下させます。したがって、こうした熱をいかに抑えながら加工をするのかという点が重要となってきます。近年では、熱膨張係数が特に少ない材質で作られた砥石も出てきています。ビトリファイドボンドはセラミックス質(ガラス質)のボンドであり、他のボンドに比べて熱膨張係数が低いという特徴があります。加工中の熱によって砥石が変形しているというような状態ならば、ビトリファイドボンドのものを使用してみる、あるいは台金そのものもビトリファイド(セラミックス)質のもので作っている砥石も販売されています。

材料と砥石の熱膨張や、熱望膨張係数の違いといった部分は高温での加工が前提となる研削盤では見過ごせない要素の一つです。

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