ダイヤモンド焼結体とは

2013年8月6日更新

ダイヤモンド焼結体とは、PCDとも言いますが、ダイヤモンドの小さな粒を金属やセラミックスの粉と一緒に高温・高圧で焼き固めたものです。商標名から一般名詞としても使われるようになったコンパックスや、シンダイトといったものも、このダイヤモンド焼結体となります。

PCDはPolycrystalline diamondから頭文字をとった記号ですが、文字通り多結晶ダイヤモンドであることを示します。

中に入っているダイヤモンドが多結晶化しており、きわめて強度に優れ、硬いため、切削工具の先端部分に取り付けて「刃」として使われます。

ただ、ダイヤモンド焼結体は、前述したとおり、ダイヤモンドだけでなく、これらを固めるためのバインダーとなる金属粉等と一緒に焼結するため、このバインダーの種類や配合、比率などによって性質が変わります。

ダイヤモンドの比率が高いものほど、より強度があり、硬いものになりますが、製造上の条件も厳しくなり、より高い圧力と温度で焼き固めないと、ダイヤモンド同士がくっついて多結晶化しません。PCDと呼ばれるものは、通常、このダイヤモンド比率の高いものを指しますが、ダイヤの比率が低く、バインダーの結合力に大きく依存するタイプのものもあります。

ダイヤモンド焼結体の違い
ダイヤモンドの比率が高い ダイヤモンドの比率が低い
製造難度大 比較的簡単に作れる
多結晶ダイヤモンドとなる。PCD。 単結晶ダイヤモンドの場合や、双方が混在するケースも
ダイヤ部分が多いため非常に硬い。 バインダー部分(金属)部分が多いため、硬さはPCDに劣る

ダイヤモンド砥石も、このダイヤモンド焼結体か

広義には、ダイヤモンド砥石もダイヤモンド砥粒と金属粉などのバインダーを型に入れて焼結したものであるため、このダイヤモンド焼結品となりますが、PCDとは別物です。

稀に混同されることがありますが、焼結ダイヤモンド砥石と、ダイヤモンド焼結体とは全く異なるものです。焼結ダイヤモンドとは、ダイヤモンド砥石を製造する過程で「焼結」を用いているものすべてを指し、基本的には電着以外のすべてのダイヤモンド砥石をそう呼ぶこともできます。単結晶ダイヤモンドの粒と金属粉を混ぜつつ、型に入れて焼き固めたものをすべてそう呼称することができます。

ダイヤモンド焼結体とは、バインダーとなるわずかな金属粉とともにダイヤモンドを高圧高温で焼き固めているため、バインダーの比率が低く、非常に硬い多結晶ダイヤモンドの塊に近いものに仕上がっています。むろん、石材やセラミックスを削ることができるダイヤモンド砥石も加工するとなると骨の折れる相手です。

PCDの加工には、通常ダイヤモンド砥石が使われますが、この砥石のバインダー(ボンド)として好まれるのがビトリファイド(ビト)と呼ばれる最も硬度に優れるタイプのものです。

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