遮光の級|遮光カーテン、シート、ロールスクリーンの1級、2級、3級とは

2019年8月26日更新

遮光の程度を示す遮光1級、2級、3級というのは、NIF(日本インテリアファブリックス協会)の定める基準で、JIS規格における「カーテンの遮光性試験方法 JIS L 1055」により遮光率を測定したものです。ここでいう光は人の目で見ることのできる可視光のことであるため、波長おおよそ380〜780nmの範囲の光をどれだけ通さないか、という基準になります。

遮光カーテンや遮光シート、遮光ロールスクリーン等の名称で販売されている製品に、NIFの機能性表示マークがつけられたものは、この基準をクリアした製品であることを示しています。

遮光等級の機能性表示マーク

遮光マーク

遮光等級の基準と測定方法

この基準では遮光率99.40%以上を適合品として扱っており、それぞれの級は以下の性能を持ちます。なお、遮光率の表示は小数点第3位以下を四捨五入することになっています。

遮光の等級一覧
等級 遮光率 照度に関する状態
遮光1級 99.99%以上 人の顔の表情が識別できないレベル
遮光2級 99.80%以上99.99%未満 人の顔あるいは表情がわかるレベル
遮光3級 99.40%以上99.80%未満 人の表情はわかるが事務作業には暗いレベル

この遮光等級の検査方法については、JIS規格で定められた方法が採用されており、具体的には下図の様な装置を暗室内で使って測定します。

   遮光率の測定方法

試験片と書かれている部分に、カーテン等をセットし、受光部と書かれている部分の照度を測定して、どの程度の光が漏れるかを検査するものです。試験に用いる光の強さですが、光源としてはJIS C 7527で規定されている100V 500Wか、110V 500Wのものを使うと定められています。照度については、10000 lx±500 lx(1万ルクス±500ルクス)を使いますが、特に遮光性能の高いものを測定する場合は、100000 lx ±5000 lx(10万ルクス±5000ルクス)を使います。

遮光率の計算方法については、以下の計算式により行います。

遮光率の計算式

遮光率100%のカーテンはあるか

カーテンやシートにおける遮光率については、NIFが定めた1級よりさらに厳しい基準もあります。具体的には遮光1級をさらに下表のように5段階に分けた評価方法です。これは99.99%以上の遮光率をもっていても、人間の光に対する感応・視覚は非常に鋭敏なものがあり、人によって見え方・感じ方が違うことがあるため、より高い遮光率を求める際にはこれらも有効な基準となります。

高遮光の細分類
等級の表記 照度に関する状態
遮光1級(A++) 生地からほとんど光を感じない
遮光1級(A+) 生地からわずかに光を感じる
遮光1級(A) 生地から光を感じるが、生地の織り組織や色はわからない
遮光1級(B) 生地から光を感じ、生地の織り組織や色もわかる
遮光1級(C) 生地全体は薄明るく見えるが人の表情は識別できない

メーカーによっては、遮光率100%を分析機関に依頼して証明しているところもあります。

ただ、カーテンやシート、ロールスクリーンにおける遮光率というのは「生地」そのものの遮光の程度、光の透過を見ます。窓に取り付ける際には、機能上、どうしても間隔が必要であり、窓の上、下等から光が漏れることもあります。こうした場合は、カーテンボックスの併用で軽減できる場合もありますが、完全な暗室を作る場合には取り付け構造にも工夫が必要になります。

遮光率の検査は、生地原反だけでなく、カーテンなど縫製の前後にも光漏れの検査を行うことになっています。製品として販売されているものについても、もとの生地同様の遮光性能が求められます。

業務上暗室環境が必要な場合はもちろんのこと、日常生活においても光害という言葉が叫ばれるほど町中が24時間明るくなっており、光を効果的に遮断する方法は貴重なものです。人間の安眠には、暗い環境が必要との見解もあり、寝室をはじめ、用途によって適切な遮光性能をもつ製品を選ぶことが大切です。

なお、遮光性能が高いカーテン類については、通常、天然の繊維を織り込んだものだけでは高い遮光率を達成することが困難で、アクリルやポリウレタン、ポリエステル等のプラスチック・樹脂を用います(裏地に樹脂コーティングを使用する等)。高い遮光性能を持つ製品の多くが、遮熱効果や遮音効果を持っていることをうたっているのはこれが理由でもあります。

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