ソレノイドの原理

2022年8月15日更新

ソレノイドとは、簡単に言うと電気を通すことで鉄芯が前後に動く仕組みをもつ電磁部品を意味しています。原理としては、銅線を巻いたコイルの中に可動式のピン(可動鉄芯=プランジャーともいいます)がセットされており、通電するとこのピンが引っ込む動きをします。

プル型とプッシュ型のバリエーション

ピンが引き込まれるタイプの動きをするものは、プル形ソレノイドともいいます。反対に、ピンが飛び出てくるものはプッシュ型ソレノイドといいます。永久磁石と組み合わせて、通電の時間を減らして発熱を抑える自己保持型ソレノイドと呼ばれる製品も存在します。

シンプルな動きの為、応用範囲が非常に広い部品です。電気によって高速応答・高速反応するため、素早い開閉が必要な部品と組み合わせて使われます。エネルギーを動きに変換する装置をアクチュエータと言いますが、ソレノイドもこのアクチュエータの一種になります。

正確にはソレノイドアクチュエータと言います。電気によって、プランジャーを吸引するか、押し出すかというどちらかの動きをします。

駆動方式

直流で駆動するものもあれば、交流で駆動するものもあります。またパルス信号や正弦波交流で駆動するものも等もあります。現在の主流は直流式のDCソレノイドですが、大きな吸引力が必要な場合は交流式のACソレノイドが使われます。下表のそれぞれの特徴と違いをまとめます。

ソレノイドの駆動方式による違い|ACとDC
ACソレノイド(交流) DCソレノイド(直流)
プランジャーの吸引力が一定で、動作速度が速い。吸引力やストロークが大きい。ただし振動や騒音も大きい。プランジャーがストロークしない場合、引付位置より遠いほど高電流が流れる等電流値は安定しない。通電時に定常電流の10倍以上の電流が流れる突入電流を設計時に考慮する必要がある。 ACよりも小さく静音。現在はこちらが主流。プランジャーが途中で止まっても電圧変化がなく電気的な負荷は一定で安全だが、プランジャーの位置によって吸引力が変化する。形状を変えることで吸引力と距離のバリエーションを作り出す応用性に富む。動作速度は遅い。

ソレノイドの性能評価|スペックの見方

バネなどの復帰機構と組み合わせてあるものは、電気を通すと引っ込み、電気を切ると元に戻るというような動きをします。選ぶときは、ピンが動く距離であるストロークと、吸引力のパラメータなどを比較検討していくことになります。

吸引力とはプランジャーを引き込む力の強さのことです。組み込む予定の部品に応じて選択します。

ストロークとは、プランジャーが吸引されたときに動く距離です。大きければより可動領域の広いダイナミックな動きをする部品に組み込むことができます。

用途

電磁石のもつ原理を使用している点ではモーターにも通じるものがありますが、ソレノイドは直線的な動きを行うアクチュエータであり、回転させるのではなく直進運動を作り出すための部品という点に違いがあります。また、モーターに比べると低動力で経済性に優れるという特徴も持ちます。

用途の幅は非常に広く、製造業でいえば、さまざまなモノづくりのための設備に部品の一部として組み込まれるほか、情報通信機器や自動車関連部品にも使われます。シリンダーの制御、電子錠、自動ドア、何らかの弁の開閉、最近では数が減りつつありますが、身近なところでは駅の自動改札の切符の送り機構にもソレノイドは使われます。

また、ソレノイドバルブやソレノイド弁と呼ばれる電磁弁は、ソレノイドを開閉機構に組み込み、電気によって開閉動作をする弁のことを意味します。

ソレノイドという用語自体は、上述の部品や製品を表わすものとして使われることが多いですが、原義はフランス語で3次元のコイル巻きした形状自体を意味しています。

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