研磨と研削の違いは何ですか?
研磨の広義と狭義
この二つの言葉は、使われる業界によっては同じ意味を持ちますが、使い分けられることもあります。「研磨」とは、広い意味をもち、削りとる作用に力点を置いた「研削」という意味も包含する場合があります。ただ狭義には、研磨は対象の表面を磨きこんでツヤを出していく琢磨作用のみを指すこともあります。この場合、ラッピングやポリッシング、バフなどの仕上げ工程の研磨に対してのみの意味となります。対して、研削といったときは、表面を物理的に落としていくことを意味します。
鏡面に近い仕上げ面粗さを得ようとするときには研削というよりは研磨という用法が一般的かもしれません。二つの用語が使い分けられている状況では、研削は粗から中仕上げ、研磨は仕上げ工程と考えればわかりやすいかもしれません。
研磨のメカニズム−なぜものが磨けるのか
研磨によってなぜものが平坦になるのか、表面粗さがよくなるのかという議論は以前からされており、磨く対象にもよりますが主として三つの作用が起きているとされています。
微小切削
大多数の研磨は、砥粒が被削材を文字通り「削り取って」おり、どのようなものの表面も横からの断面図で見れば山と谷がたくさん見られ、いうならばこれを平坦化していくのが研磨といえます。一般的に「研磨」というときには多かれ少なかれこうした現象が加工対象の表面で起きていると言えます。
塑性流動
臨界を超えた応力が材料に加わった時に見られる材料の流動的な挙動をあらわす用語で、金属やプラスチックなどがこの塑性流動の例としてあげられることもあります。上述の研磨の際、横から加工対象の断面図を見ると、山が削られ、谷が残っている状態があると仮定します。この現象は、この谷の淵から徐々に材料が溶けるように崩れていき、谷をよりなだらかにしてしまうことを意味します。加工中の熱や応力によるものとされますが、観察するのは困難です。研削加工でも、砥石の目つぶれが起きてくる後半で面粗さがよりよくなっていきますが、こうした現象が加工点では起きている可能性があります。
化学反応
砥石と工作物との間で化学反応が起き、その反応により生成された個所を砥石が除去することによって磨かれていくとする説です。
研磨と研削の用法は使い分けられることもあれば、同一のものとして扱われることもある用語ですが、注目すべきはそのカバーする業界の広さです。ものを研磨するときには砥石や液体研磨剤のどちらを使うにしても砥粒が不可欠ゆえ、幅広く使われていますが、業界によって標準的な加工方法も異なることから「研磨」と「研削」の間で解釈や用法に違いが見られると推測されます。
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