構成刃先とは何ですか
切削工具で対象を削っていくと、刃先を保護するかのように切り屑が固着してくることがあります。これを構成刃先といい、これらは工具の磨耗を抑える働きがあり、すくい角も増大するため、切削抵抗を下げることに寄与するといわれますが精度の良い安定した加工ではあまり望ましい現象ではないといえます。付着のタイミングや安定していつまでも同じ厚みや硬さで構成刃先があるとは限らないからです。また刃先が分厚くコーティングされたようになっているわけですから、切り込み深さも想定されたものよりも深いものになります。
構成刃先の発生要因としては、一定の速度でワークと工具との接触点が一定の温度以下となるときに起きますので、これらを防ぐには切削速度を遅くするか、ワークの切り屑が再結晶する温度を超えるほどの速度で加工するかすればよいことになります。また、切削油についても切り屑の付着を抑える潤滑性の良いものを使い、すくい角も30度以上にあげることや、高温での切削、振動切削もこの現象の発生を抑えることに効果があるとされます。
なお、研削加工もワークと工具の隙間をミクロレベルで見ていくと、切削と似た現象が起きていますので、こちらでは構成刃先に相当する現象といえば砥粒の「目詰まり」ということになります。この現象も加工効率が著しく落ちる、もしくは加工が進まなくなりますので避けたい現象の一つですが、たいていの砥石は遅かれ早かれ目詰まりは起こしますので、目が詰まったら「目だし」作業であるドレッシングを行う必要があります。ドレッシングを行う間隔、つまりドレッシングインターバルがなるべく長くなるような砥石と使用条件を見つけ出すことが加工時間の短縮につながります。目詰まりの発生原因は、切り屑が排出がうまくいかない、砥石のボンドが削られない、ワークがねばい材質である、など複数考えられます。研削条件と、砥石の仕様変更で劇的に変わることもありますので、一考の価値はあります。
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