アクリル(PMMA)とポリカーボネート(PC)の違いについて
樹脂材料の中でも高機能樹脂とされるこのアクリル(PMMA)とポリカーボネート(PC)は多くの産業で利用されている代表的な「透明樹脂」です。両者は似ている部分もあるため、時に競合したり、どちらを使うかで迷う局面もあるかもしれません。そこで、アクリルとポリカーボネートを比較してみることにしました。両者ともガラスが使われている部分の代替材料としても検討されることが多い材料です。
気をつけなければならないのは、樹脂材料は添加されているフィラー(充填材)の種類によって物性や機能が変わることがある点です。添加されている物質の配合によって性質・能力が変わってしまうため、比較する場合はこれらの点も考慮する必要があります。材料同士の詳しい比較をする場合は、メーカーから販売されているそれぞれのスペック表や物性などが記載されたパンフレット等を取り寄せる必要があります。以下は、全般的な違いについての説明になります。
アクリル樹脂(PMMA)の概要
正式にはメタクリル樹脂や、ポリメタクリル酸メチル、ポリメチルメタクリレート等と称呼されます。アクリルは何と言ってもその透明度の高さが際立っています。透明度では無機ガラスをも凌ぎます。また加工性がよく、曲面部にも問題なく使えます。耐侯性もよく、水槽や看板をはじめ、薄型のテレビ、ランプカバーなどの素材もアクリルがよく使われます。
ポリカーボネート樹脂(PC)の概要
ポリカとも呼ばれ、この透明樹脂が際立っているのは耐衝撃性です。またコストが比較的安いため、汎用のプラスチックの中では良く使われます。透明度はアクリルには劣りますが、決して悪いわけではなく、アクリルが高すぎるといったほうがよいのかもしれません。車のヘッドライトやCD、DVDなどの透明な部分はポリカーボネートです。他にも光学用途や、カメラレンズ各種に使われます。
アクリル(PMMA)とポリカーボネート(PC)の比較
透明性
アクリルに軍配が上がります。アクリルの透明度は93%以上になります。
耐衝撃性
ポリカーボネートのほうがアクリルよりも強いです。ポリカはガラスとの比較ではその耐衝撃性が200倍以上にもなります。軽くて衝撃に強いため、車のヘッドライトの多くは、ガラスからポリカーボネートに変わっています。
可燃性
アクリルは燃える材料であり、このあたりは難燃性でもあるポリカーボネートに軍配が上がります。
耐熱性、耐熱温度(使用温度の目安)
一般に常用される温度帯域で見ると、ポリカーボネート(PC)のほうが若干耐熱性に優れています。
樹脂名称 | 耐熱温度(常用での使用温度) |
---|---|
アクリル(PMMA) | 70〜90℃程度 |
ポリカーボネート(PC) | 120〜130℃程度 |
耐侯性
アクリルは日光の影響はあまり受けませんが、ポリカーボネートは長期間の曝露で退色や脆化することがあります。ポリカーボネートが使われている車のヘッドライトの黄ばみなどがその例です。
傷の付きにくさ
ポリカーボネートのほうがアクリルよりも傷は付きやすいとされます。
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