気孔
砥石を構成する三つの要素である「砥粒」「ボンド(結合材)」「気孔」のうちの一つで、砥層内部に残留した気泡、穴のことです。軽石を思い浮かべるとイメージしやすいかもしれません。ほとんどの場合、意図的に気孔は作られます。気孔は、砥石の中で切り屑の排出を助けたり、砥粒の生え変わりを間接的に助けたりすることで切れ味の維持に貢献している部分です。気孔を増やすことで、クッション性のあるソフトな砥石にしたり、砥石のあたりや硬さを変えることもできます。メタル、レジン、電着、ビトなどの中では、ビトに比較的多く気孔を組み込むことが多いです。スポンジ状の砥石であるPVA(ポリビニールアルコール)砥石にも気泡(気孔)は多く含まれています。
気孔の作り方はいろいろありますが、高温をかけると溶けてなくなってしまうような物質を砥石のボンドにあらかじめ配合しておき、窯で砥石が焼きあがるとその部分だけ空洞になる、という方法が一般的です。
砥石の気孔には二種類あり、上から水をかけると下から水が出てくるように砥石の内部で気孔同士がつながっている「連続気孔」と石鹸の泡のように空洞そのものが他とはつながっていない「独立気孔」です。使われ方などによってどのような気孔が採用されるかが決められます。なお、この気孔の含有率を「気孔率」といいますが、これは砥石の自生作用、切れ味、切り屑の排出などに影響し、砥石の寿命にも影響します。