砥石の目こぼれ
通常、砥石のなかで砥粒をボンド(結合剤)がしっかり掴んでいますが、加えた力に対し、ボンドの保持力が充分でないと、砥粒が脱落してしまうことがあります。ダイヤモンドを砥粒としている場合、研削中の砥石とワークの間では、ダイヤモンドの微小な破砕が起きており、砥粒の先端がつねに尖っている状態を維持していますが、この目こぼれは砥粒が、粒ごとこぼれおちてしまう現象です。切れ刃となる砥粒は、少しずつ微小破砕を繰り返すのが理想的で、この目こぼれが起きてしまうと、砥石の表面が突き出している「刃」そのものがなくなってしまうため、砥石が性能を発揮できません。
砥石の切れ味低下要因のうち、目こぼれが起きる場合、砥石、ワーク、加工条件が適切なバランスを保っていない可能性があります。圧力が強すぎる、ボンドがやわらかすぎる、砥粒が大きさとそれを保持する力が見合っていない等が主な原因として考えられます。より粗い砥粒ほど、よりしっかりした力で砥粒をつかむことができるボンドが必要です。