ロール研磨

2010年8月12日更新

ステンレスや超硬、セラミックスや硬質クロムめっきなどの円筒上のロールの表面を鏡面仕上げするケースを「ロール研磨」と呼ぶ場合があります。円筒研削の場合、寸法や形状を目的とする円筒形状にすることはできますが、表面粗さを鏡面にまで持っていくことは困難な場合があります。そこで、6A2型などのカップタイプのホイールを使って、表面粗さを細かく仕上げていく加工方法がよく用いられます。鉄素材を含むロールにはCBNホイールが使われることもあります。

このロール研磨の難しい点は、表面を仕上げるカップホイールの砥層が「面」で加工対象と接触せず、線接触になる点です。接触面積を減らすことは、切れ味がうまく出ないときには使われる手法で、意図的に砥層の幅を細くしたりすることも一般の円筒研削では行われるのですが、このロールの仕上げ研磨の場合、切れ味が発揮されすぎてしまうと面粗さが十分に出なかったり、砥粒が深く切り込んでしまって微細なスクラッチを発生させてしまう可能性もあります。圧力がやわらかく均等になるような広い面による接触のほうが、鏡面仕上げには有利なのですが、円筒形状のロールの場合はこれができません。砥石の仕様を調整するだけでなく、送りや切り込み量、研削油剤の量、こうした液のかかり方などにも詳細に詰めていく必要があり、鏡面仕上げにするにはいずれも難度の高い素材ばかりといえます。

鏡面仕上げを求められるロールの多くは、何かを挟んで引き延ばす用途がほとんどでロールの表面の凹凸が製品にそのまま転写されてしまうため、特に精度の高い表面粗さが必要になってきます。一概に切れればよいというタイプの加工ではないため、普段とは異なる条件も精査していく必要があります。

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