研磨の種類

2011年6月7日更新

研磨は加工物の表面の凹凸を滑らかにするために物理的、化学的、電気的に表面を加工する技術です。業界によっては研削と明確に区別されていないこともあります。研磨は一般に、表面の凹凸を砥石や研磨材を使って削りつつ、限りなく平坦にしていく加工で、厚みを落とすための加工もありますが、ほとんどはよりよい表面粗さを得るために行う加工です。

研磨の種類としては、研磨材による分類から、遊離砥粒と固定砥粒という区分けも可能です。遊離砥粒は、液体のなかに微細な砥粒を入れた研磨材で、スラリーとも言われます。半導体の表面の研磨に使われるCMPスラリー等がよく知られています。これは物理的(機械的)に表面の凹凸を滑らかにしていくだけでなく、化学的な反応も利用した研磨手法で、特に高精度の仕上げ面が必要な場合に使われます。

研磨によって物体の表面が滑らかになる原理としては、まだ不明な部分もありますが、主要なものとしては、概ね三つあります。まず、加工時に表面の凹凸を砥粒が微小切削しているというもので、これは物理的に砥石やサンドペーパー、研磨布紙などで物を磨くときに起きている現象です。研削ではこの原理によって加工物が削られています。

次に、研磨時に加工物の表層で塑性流動が起きているという説があります。これは粘土で例えれば、加工中に盛り上がった部分が谷の部分に流動しながら、凹凸の差を埋めていくという原理です。研磨時には加工対象の多くはクーラントを用いても高温になりますので、こうした温度によってこの現象が促進されているのではないかとも考えられています。

三つ目が、表面で化学反応が起きることで滑らかになっていくという説です。薬品によって表面を溶解させる研磨も、この一種と見ることもできます。研磨材と加工対象が反応して何らかの化合物が生成され、それを削り取ることで研磨が成立しているという考え方です。

研磨加工を依頼するにしても、どのような研磨が適しているのかわからない、という場合は加工対象の性質・形状・寸法と、仕上げ面精度から似ている材質を研磨している会社へ相談してみるのも有効な方法です。あらかじめ優先順位を決めておくとよいでしょう。

研磨加工を行っている会社の一覧

研磨材の種類による分類
遊離砥粒、固定砥粒
研磨個所、加工対象による分類
ホーニング研磨、平面研磨、円筒研磨、センタレス研磨
手法による分類
ラップ研磨、化学研磨、CMP研磨、電解研磨、バレル研磨、バフ研磨
仕上げ面による分類
鏡面研磨
加工製品や分野による分類
レンズ研磨、光学研磨、床研磨、コンクリート研磨、ステンレス研磨、ガラス研磨

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