研削砥石の特別教育とは何ですか。

2010年10月27日更新

機械の種類によって2種類に分けられている特別教育

大別すると、自由研削用砥石についてのもの(主として携帯用グラインダー、卓上グラインダー、切断機、スインググラインダー、ワゴングラインダー等。合計講習時間は最低6時間以上)と、機械研削用砥石についてのもの(主として研削盤。合計講習時間は最低10時間以上)があります。

研削砥石とは、丸く円盤状で全体が焼結してある砥石(陶器等の焼き物と考えたほうがわかりやすいかもしれません)で高速回転させて用いるもので、ダイヤモンドホイールのように砥石が金属の台金に接着(もしくは焼き付け)してあるものとは根本的に安全基準が異なるものです。一見、グラインダーであろうが、研削盤であろうが、機械の主軸に取りつけてただ回転させるだけの作業ですが、研削作業はこの砥石が高速で回転するため、一歩間違えれば大けが、場合によっては死亡する危険性もある作業です。

こうした理由から、労働安全衛生法(労働安全衛生規則)のなかに、この業務に従事する者に一定時間以上の特別教育を受けさせる必要があると規定されています。これを知らずに従業員に作業させれば、労働安全衛生法違反となります。またこれに絡んだ砥石の破裂事故が起きた場合も、所轄労働基準監督署長に報告書提出の義務が発生します。

切削加工や研削、研磨作業に関わりのある技能資格も実技試験で研削砥石やグラインダーを使うものもありますので、その場合、この特別教育を修了している必要があります。加工技術に関する資格の中ではこの特別教育を修了していないと取り組めないものもあります。

なお、機械研削用砥石の特別教育、自由研削用砥石特別教育のそれぞれの科目、時間数(カリキュラム)は以下の通りです。

機械研削用といしの取替え又は取替え時の試運転の業務に係る特別教育

カリキュラム

学科

  • 機械研削用研削盤、機械研削用といし、取付け具等に関する知識(4時間)
  • 機械研削用といしの取付け方法及び試運転の方法に関する知識(2時間)
  • 関係法令(1時間)

実技

  • 機械研削用といしの取付け方法及び試運転の方法(3時間以上)

自由研削用といしの取替え又は取替え時の試運転の業務に係る特別教育

カリキュラム

学科

  • 自由研削用研削盤、自由研削用といし、取付け具等に関する知識(2時間)
  • 自由研削用といしの取付け方法及び試運転の方法に関する知識(1時間)
  • 関係法令(1時間)

実技

  • 自由研削用といしの取付け方法及び試運転の方法(2時間以上)

【管理者のための参考資料】労働安全衛生法(安全衛生特別教育規程)で研削砥石に関係のある条文

(特別教育を必要とする業務)
第三十六条
 法第五十九条第三項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。
一 ◆研削といしの取替え◆又は取替え時の試運転の業務

(事故報告)
第九十六条
 事業者は、次の場合は、遅滞なく、様式第二十二号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
一 事業場又はその附属建設物内で、次の事故が発生したとき
  イ 火災又は爆発の事故(次号の事故を除く。)
  ロ 遠心機械、研削といしその他高速回転体の破裂の事故
  ハ 機械集材装置、巻上げ機又は索道の鎖又は索の切断の事故
  ニ 建設物、附属建設物又は機械集材装置、煙突、高架そう等の倒壊の事故

(ストローク端の覆い等)
第百十二条
 事業者は、研削盤又はプレーナーのテーブル、シエーパーのラム等のストローク端が労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、覆い、囲い又はさくを設けなければならない。

(研削といしの覆い)
第百十七条
 事業者は、回転中の研削といしが労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、覆いを設けなければならない。ただし、直径が五十ミリメートル未満の研削といしについては、この限りでない。

(研削といしの試運転)
第百十八条
 事業者は、研削といしについては、その日の作業を開始する前には一分間以上、研削といしを取り替えたときには三分間以上試運転をしなければならない。

(研削といしの最高使用周速度をこえる使用の禁止)
第百十九条
 事業者は、研削といしについては、その最高使用周速度をこえて使用してはならない。

(研削といしの側面使用の禁止)
第百二十条
 事業者は、側面を使用することを目的とする研削といし以外の研削といしの側面を使用してはならない。

(通風等の不十分な場所での溶接等)
第二百八十六条
 事業者は、通風又は換気が不十分な場所において、溶接、溶断、金属の加熱その他火気を使用する作業又は研削といしによる乾式研ま、たがねによるはつりその他火花を発するおそれのある作業を行なうときは、酸素を通風又は換気のために使用してはならない。

安全衛生特別教育規程

労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第三十九条の規程に基づき、安全衛生特別教育規程を次のように定め、昭和四十七年十月一日から適用する。

(研削といしの取替え等の業務に係る特別教育)

第一条 労働安全衛生規則(以下「安衛則」という。)第三十六条第一号に掲げる業務のうち機械研削用といしの取替え又は取替え時の試運転の業務に係る労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号。以下「法」という。)第五十九条第三項の特別の教育(以下「特別教育」という。)は、学科教育及び実技教育により行なうものとする。
2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行なうものとする。(表)
3 第一項の実技教育は、機械研削用といしの取付け方法及び試運転の方法について、三時間以上行なうものとする。

科目名 内容 受講時間
機械研削用研削盤、機械研削用といし、取付け具等に関する知識 機械研削用研削盤の種類及び構造並びにその取扱い方法 機械研削用といしの種類、構成、表示及び安全度並びにその取扱い方法 取付け具 覆(おお)い 保護具 研削液 4時間
機械研削用といしの取付け方法及び試運転の方法に関する知識 機械研削用研削盤と機械研削用といしとの適合確認 機械研削用といしの外観検査及び打音検査 取付け具の締付け方法及び締付け力バランスの取り方 試運転の方法 2時間
関係法令 法、労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号。以下「令」という。)及び安衛則中の関係条項 1時間

(自由研削用といしの取替え等の業務に係る特別教育)

第二条 安衛則第三十六条第一号に掲げる業務のうち自由研削用といしの取替え又は取替え時の試運転の業務に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行なうものとする。
2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行なうものとする。(表)
3 第一項の実技教育は、自由研削用といしの取付け方法及び試運転の方法について、二時間以上行なうものとする。

科目名 内容 受講時間
自由研削用研削盤、自由研削用といし、取付け具等に関する知識 自由研削用研削盤の種類及び構造並びにその取扱い方法 自由研削用といしの種類、構成、表示及び安全度並びにその取扱い方法、取付け具 覆(おお)い 保護具 2時間
自由研削用といしの取付け方法及び試運転の方法に関する知識 自由研削用研削盤と自由研削用といしとの適合確認 自由研削用といしの外観検査及び打音検査 取付け具の締付け方法及び締付け力 バランスの取り方 試運転の方法 1時間
関係法令 法令及び安衛則中の関係条項 1時間

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