木質ボードの特徴と種類

2013年3月31日更新

木の小片、木っ端や繊維を接着させて固めたものを総称して木質ボードといいます。木材を使うときには、一般的に繊維がどちらの方向に走っているのかといった「向き」がとても重要になってきます。この違いにより、木材の強度や機械的性質が異なり、また曲げ加工が可能かどうかも決まってきます。

木質ボードは、基本的に木っ端や木屑を接着剤で固めたものであるため、素材は「樹木」と樹脂の混合品となり、木材固有の方向性がありません。このため、大判の木板にしても狂いが少ないものができるため、建材の用途としては幅広い需要があります。また加工のしやすさは木材とほぼ同等です。

具体的には、床や壁、下地などにも使われます。木材はどの樹木を選んでも、木そのものによる違いもあるため、同じ種類の樹木であっても機械的性質が完全に同じというわけにはいかず、工業材料に求められる安定性や均質性には難がありました。こうした木の持つ欠点(状況によってこれを利点に変えて使うことが木材の大きな特徴なのですが…)ともいえる方向性の問題を解消した材料といえます。とはいえ、木質ボードは小片が細かいほどに木材としての性質は弱まっていきます。強度面については改良された製品も出てきています。

なお、木質ボードすべてをパーティクルボードと呼ぶこともありますが、厳密には小片の大きさや繊維などによって使い分けられています。

パーティクルボード
木材や植物の小片を合成樹脂で接着したもの。チップボードともいいます。
ウエハーボード
小片系の木質系ボード。現在はOSBに取って代わられ、ほとんど市場には流通していない。
OSB(配向性削片板)
オリエンテッド・ストランド・ボードのこと。繊維方向に細長い木っ端を直交させたり、同じ方向にしたり、向きを意識して作られる配向性ボード、配向性ストランドボードのこと。パーティクルボードよりも材料として使う木のチップが大きく、薄い。
インシュレーションボード(IB)
低密度の繊維系の木質ボードで、ファイバーボードの一種。
MDF(中質繊維板)
パーティクルボードよりも細かい繊維片を接着させて作られている。ファイバーボードの一種。JIS A 5905に規格化されている。スピーカーのキャビネットや本棚、食器棚などの家具類の扉や背板、側板などに使われる。
ハードボード(HD)
MDFよりも高密度の繊維系木質ボード。

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