硫黄および硫黄複合快削鋼鋼材(SUM材)の用途、機械的性質、成分の一覧
SやP,Pbなどの元素を添加すると、加工性が向上することから、このSUM材は通常の鉄鋼材料に比べて切削性や加工性を改善したタイプになります。SUM材は特に切削がしやすい鋼材といえます。前記の快削性元素(S、P、Pb)を単体で添加しているタイプと、複数を組み合わせているタイプとがあります。複合快削鋼とは後者のことをいいます。添加元素によっても、切削性を重視したタイプはSを添加しているS快削鋼、機械的性質を重視した場合はPbを添加したPb快削鋼といった分け方もできます。
SUM材の分類と特徴
SUM11,22,22L
切削性に重点を置いたタイプで、低炭素快削鋼とも言われます。機械的性質(強度など)よりも切削性が重視される場合に選択される鋼です。
SUM31,32,41,42,43,31L
中程度の炭素量で強度を持たせており、中炭素快削鋼ともいいます。SUM31はSS400相当、SUM41,42,43はS35C, S40C, S45C相当の強度を持ちます。熱処理(調質)して使います。S(硫黄)による強度劣化を防ぐために、Mn(マンガン)の比率を高めにしてあります。
複合快削鋼(S快削鋼ともいいます)には、機械的性質に方向性があると言われています。S(硫黄)の含有比率が多いほどに、圧延と直角方向での延性やじん性が多少劣るとされます。たいして、快削性元素であるPbを添加したPb快削鋼は、単体元素が均一分布しているため、展延性に優れ、S快削鋼のような異方性はないと言われています。ただこちらはPbの融点により機械的性質が左右されるため、327℃より高い温度になると機械的性質は劣化します。一般にPb快削鋼は焼入れ、焼き戻しなどの熱処理をして使います。
「JIS G 4804:2008 硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材」に規定のある材料記号
硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材(SUM)の材料記号の変遷:JISの新旧対照表
2008年 | 1983年 | 1970年 | 1952年 |
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- | - | - | SUM1A |
- | - | - | SUM1B |
SUM32 | SUM32 | SUM32 | SUM2 |
- | - | - | SUM3 |
- | - | - | SUM4 |
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- | SUM11 | SUM11 | - |
- | SUM12 | SUM12 | - |
SUM21 | SUM21 | SUM21 | - |
SUM22 | SUM22 | SUM22 | - |
SUM22L | SUM22L | SUM22L | - |
SUM23 | SUM23 | SUM23 | - |
SUM23L | SUM23L | SUM23L | - |
SUM24L | SUM24L | SUM24L | - |
SUM31 | SUM31 | SUM31 | - |
SUM31L | SUM31L | SUM31L | - |
SUM41 | SUM41 | SUM41 | - |
SUM42 | SUM42 | SUM42 | - |
SUM43 | SUM43 | SUM43 | - |
SUM25 | SUM25 | - | - |
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