繊維の引張強度の比較

2015年12月7日更新

繊維の引張強度とは、cN/dtex(センチニュートンデシテックス)やN/tex(ニュートンテックス)で示されます。引張強さとは、その名のとおり、両側から引張っていった際に糸が千切れる限界の力のことです。一般に金属などの引張強度はN/mm2やMPaがよく使われますが、これらは断面積あたり(太さ)に対してどれくらいの力で引張るかという計算になっています。対して、糸の場合は断面積自体をはかることが難しいため、わかりに糸の太さの単位である長さあたりの重さで示したテックス(tex)を用いて引張強さの比較を行っています。

実用上、繊維は糸に加工されて使われることが多いため、実際の強度を調べる場合は、繊維だけでなく、糸に状態についても考慮したほうがよいケースもあります。繊維を糸にする場合、「より」の方向が2種類あり、これらの掛け方によっても糸の強度は変わってきます。よりが多ければ当然切れにくくなります。

以下、繊維の素材レベルで見た場合の引張強度について一覧にしています。同じ繊維でも、長繊維か短繊維かでも性能は異なります。また糸が乾燥しているか、湿潤かという点でもパラメータに違いが出てきます。

繊維の引張強度と伸び率(f=フィラメント糸【長繊維】、s = ステープル【短繊維】)
繊維の種類 引張強度(cN/dtex) 伸び率(%)
乾燥 湿潤 乾燥
2.6から3.5 1.9から2.5 15から25
0.9から1.5 0.7から1.4 25から35
綿 2.6から4.3 2.9から5.6 3から7
5.7 6.8 1.5から2.3
ポリエステル f 3.8から5.3 3.8から5.3 20から32
s 4.1から5.7 4.1から5.7 20から50
アクリル s 2.2から4.4 1.8から4.0 20から50
アクリル糸 s 1.9から3.5 1.8から3.5 25から45
ナイロン f 4.2から5.6 3.7から5.2 28から45
ビニロン s 3.5から5.7 2.8から4.6 12から26
ポリプロピレン s 4.0から6.6 4.0から6.6 30から60
ポリ塩化ビニル f 2.4から3.3 2.4から3.3 20から25
ポリエチレン(低圧法) f 4.4から7.9 4.4から7.9 8から35
ビニリデン f 1.3から2.3 1.3から2.3 18から33
ポリウレタン f 0.5から1.1 0.5から1.1 450から800
ポリクラール s 2.5から2.9 1.8から2.0 20から24
レーヨン f 1.5から2.0 0.7から1.1 18から24
s 2.2から2.7 1.2から1.8 16から22
ポリノジック s 3.1から4.6 2.3から3.7 7から14
キュプラ f 1.6から2.4 1.0から1.7 10から17
アセテート f 1.1から1.2 0.6から0.8 25から35
トリアセテート f 1.1から1.2 0.7から0.9 25から35
プロミックス f 3.1から4.0 2.8から3.7 15から25

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