携帯電話カメラのレンズの傷を再生する方法はあるか

2012年8月25日更新

携帯電話は機種によってはレンズそのものの前に、カバーがついており、これに傷が付いているという場合もあります。であれば、カバーを交換するだけですみます。まずは、どちらに傷がいっているのか、よく見る必要があります。

率直に言って、カメラのレンズに傷がついてしまっている場合、自分ではなおすことは出来ません。というのも、光学レンズは、その表面にナノオーダーの薄膜が何層もついているからです。これは基材であるレンズの材料を精巧な「レンズ」に加工しても、入ってくる光の散乱やレンズ最表面で反射されてしまう光などを防ぐことが出来ないためで、光学部品のほとんどの表面には特定の光を反射させたり、よりよく透過させたりするための「膜」がついています。カメラの場合は、目に見える光である「可視光」をよりよく透過させる、つまり透過率をあげるための反射防止膜が良く使われています。

こうした薄膜により、小さなレンズでも焦点を結び、より透過率の高いクリアな写真を撮ることができるようになります。

膜の材料はつける対象や設計にもよりますが、TiO2(酸化チタン)とSiO2(二酸化ケイ素)の組み合わせや、Al2O3やMgF2、ZrO2などが使われます。厚みは一層あたり数百ナノメートルしかありませんが、一層でも剥がれたりすれば、薄膜によって維持されていた本来の機能を失います。

したがって、傷がレンズ本体についてしまっている場合は、研磨しても膜がすべて剥がれ、なおかつ携帯電話の場合は樹脂レンズが使われているため、ガラスレンズと違い、膜を剥がしたところで研磨ではどうしようもありません。(もっともガラスレンズもよほどのものでない限り、研磨で再生するより、レンズそのものを交換するという選択肢しか現実的ではありませんが・・)

ちなみに、携帯電話用のレンズはほとんどが樹脂(プラスチック)です。アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂、フルオレン樹脂といった系列のものになります。これはガラスレンズのように研磨によって作るのではなく、プラスチック成形品と同じように、型でつくります(射出成形による大量生産)。仕上がってきた樹脂レンズは、洗浄工程を経てそのまま成膜を行い、前述の薄膜がつけられます。

携帯電話のカメラレンズは種類にもよりますが、膜の数は数十から100層を超える薄膜を積層している場合もあります。

傷が付いてしまったら、レンズを交換するしか再生の方法はありません。

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