ステンレス鋼(SUS)の種類にJIS規格はありますか?
ステンレス鋼はSUSとも言いますが、その種類には大別すると含有する成分によってCr(クロム)系と、Cr-Ni系(クロム−ニッケル系)の二種類があります。
また、ステンレスの種類のうち、組織構造から分類するとオーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系の三系統あります。JIS規格による分類ではこの3つに、二相系と析出硬化系をくわえた5分類となります。
ステンレスはその名の示す通り、錆びにくく、腐食しにくい鋼ですが、添加されている材料によって性質が異なってきます。たとえば、Crを添加するとこれは酸化皮膜となり、錆の発生を抑制することができます。またNiを添加することで酸化膜の密着性がよくなり、耐食性が向上します。この比率を微調整し、他にもMo, Nb, Ti, Cu金属類の添加物によって多くの特性を出すことができます。
ステンレスは粘く、強い材料で本来加工しづらいものです。ステンレス特有の酸化皮膜(不動態皮膜)が金属表面をコーティングしていますので、研磨の工程ではこれを剥がしながら加工していくことになりますが、空気に触れるたびにこの不動態皮膜は再生していくとされます。これに加え、金属に力を加え続けると硬化していく、「加工硬化」の問題も、研削抵抗がかかっていくに従って発生することがあります。切れ味のよい砥石で加工することが肝要です。
ステンレス鋼の種類は、JIS規格によると下記の63種類がありますが、これらにさらに添加物を加えたり、熱処理などをして付加価値をつけたステンレスもあります。より高い付加価値のついたものほど加工の難度も上がってきますので注意が必要です。
組織 | 材料記号 |
---|---|
オーステナイト系 | SUS301 |
SUS301L | |
SUS301J1 | |
SUS302B | |
SUS303 | |
SUS304 | |
SUS304Cu | |
SUS304L | |
SUS304N1 | |
SUS304N2 | |
SUS304LN | |
SUS304J1 | |
SUS304J2 | |
SUS305 | |
SUS309S | |
SUS310S | |
SUS312L | |
SUS315J1 | |
SUS315J2 | |
SUS316 | |
SUS316L | |
SUS316N | |
SUS316LN | |
SUS316Ti | |
SUS316J1 | |
SUS316J1L | |
SUS317 | |
SUS317L | |
SUS317LN | |
SUS317J1 | |
SUS317J2 | |
SUS836L | |
SUS890L | |
SUS321 | |
SUS347 | |
SUSXM7 | |
SUSXM15J1 | |
オーステナイト・フェライト系(二相系) | SUS329J1 |
SUS329J3L | |
SUS329J4L | |
フェライト系 | SUS405 |
SUS410L | |
SUS429 | |
SUS430 | |
SUS430LX | |
SUS430J1L | |
SUS434 | |
SUS436L | |
SUS436J1L | |
SUS445J1 | |
SUS445J2 | |
SUS444 | |
SUS447J1 | |
SUSXM27 | |
マルテンサイト系 | SUS403 |
SUS410 | |
SUS410S | |
SUS420J1 | |
SUS420J2 | |
SUS440A | |
析出硬化系 | SUS630 |
SUS631 |
参考サイト:ステンレス鋼材の各種類の特性や成分、引張強さ、強度、耐力、硬度などの機械的性質について
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