ダイヤモンドホイールの砥石部分がなくなりました。台金はきれいなので再利用できますか。
全体が砥石になっている研削砥石はともかく、台金に砥層が接着されている工具や砥石は、使いきってしまうと台金だけが残されることになります。捨てるのも忍びなく、これを再利用できないかとの話はよく聞きますが、再利用云々はコストとの兼ね合いで決まります。標準的なダイヤモンドホイールで、砥層に焼結体を使っている場合、台金を再利用して製作するケースと、新しく一から作るケースとではコストがほとんど変わらないことが多いと言われています。台金に一般的に使われるアルミ合金の棒材の費用・加工賃と、使い終わったアルミ台金からブラスト等で砥層の残りを完全に剥離処理する手間や時間を天秤にかけると、再利用のほうが高くつく場合もあります。
ダイヤモンド砥石やcBN砥石で、台の再利用がよく行われるのは電着の場合や、台の形状が複雑なモノや、アルミや鉄以外の特殊な材質を採用しているケースです。電着工具の場合は、シャンク(台金)にダイヤモンド砥粒がニッケルメッキとともに1層だけコーティングしてあるというシンプルな構造ゆえ、使い終わりもはやいという事情のほか、台金の精度=砥石の精度と直結しているため、台金にS45Cなどの炭素鋼で精度よく作る習慣があります。
シャンクに損傷がなければ剥離液に浸して剥がし、すぐにめっき製法で電着を付けることができるので、コストも再利用のほうが安く済みます。ほとんどの砥石は継続使用が前提となると思いますので、長い目で見ればコストメリットがかなり出てきます。特に電着砥石はチャンクの精度が命ですので、この精度が元々高いものであれば値段もそれなりにするため、使い捨てるとコストがかなりかさみます。
台金の形状がかなり複雑なもので加工に手間や費用がかかるものについても再利用を検討する価値はあります。もちろん、これは台金に傷が付くなどしてフランジ現合の際に振れが発生しないという前提の上で行う必要があります。
アルミ合金以外の台金の材質としては、鉄のほか、超硬、ハイス鋼、鋳鉄、セラミックス等があります。熱膨張がより低ければ加工精度も向上しますので、そうした意味合いで材質を変える場合や、砥石とワークが接触するときのクッション性や剛性を考慮しているケース、よりコストの安いものを選択する場合、作業者の負担を考慮して軽量化するためなど様々な理由があります。
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