砥粒
砥粒の役割
砥石において、砥粒とは対象を削り磨いていく「刃」そのものになります。砥石が切削工具と大きく違うのは、この「刃」が大量に入っており、刃そのものが微小な破砕を繰り返しつつ、次々に下から出てくる次の刃に生え変わりながら対象を削っていく点です。
この砥粒には、大きく分けると二種類あります。
一般砥粒
アルミナや炭化ケイ素、酸化クロム、酸化鉄、酸化セリウム、ジルコニア、シリカなど、ダイヤモンドとCBN以外の砥粒のほぼすべてを一括りにして一般砥粒と呼びます。セラミックス質のものが多く、価格も手ごろで多くの研削砥石や一般砥石に使われています。
なお、研削盤で使われる研削砥石によくつかわれる砥粒としては以下のようなものがあります。
WA:白色アルミナ質
高純度のアルミナで、焼入れ鋼、合金鋼、工具鋼、ステンレスなどに用いられます。最も多く使われる一般砥石の砥粒です。
A:褐色アルミナ質
通常のA砥粒と呼ばれるアルミナ砥粒で、一般鋼材や自由研削に用いられます。一般にA砥粒はC砥粒に比べて鋭利ですが、C砥粒よりはやわらかく、破砕性はC砥粒のほうが勝ります。
HA:解砕型アルミナ質
単結晶の砥粒で、合金鋼、工具鋼、ステンレスなどに用いられます。
PA:淡紅色アルミナ質
靭性の大きな砥粒で、特殊鋼や歯車研削などに用いられます。
GC:緑色炭化ケイ素
高純度のC砥粒で、超硬合金や特殊鋳鉄などに用いられます。
C:黒色炭化ケイ素
普通のC砥粒であり、非鉄金属や鋳鉄などに用いられます。上述の通り、A砥粒に比べて硬く、破砕性に富んだタイプです。
超砥粒
ダイヤモンド、CBNのことを指します。GE社が人工ダイヤモンドを開発した際、こうした素材を用いた砥粒を「スーパーアブレーシブ」と命名したことからその訳語として使われる言葉です。ただ実際に超砥粒という言い方をする業界は少ないのかもしれません。ダイヤモンドホイール、砥石、CBNなどの言い方でたいてい通じてしまいます。また超砥粒にはダイヤモンドとCBNの二種類しかないため、あえて一くくりに「超砥粒」という必要もあまりないのかもしれません。
超砥粒の選別基準としては、破砕性、靭性、形状などが考慮されることが多いです。またこうした分け方のほか、天然のものと合成(人工)のものとに分けることもできます。今も使われている天然砥石などは岩石など自然にあるものを砥粒として活用しています。 超砥粒の例でいえば、天然ダイヤモンド、合成ダイヤモンド、CBN(天然には存在しません)があります。砥粒は加工対象と相性があり、個々の物理的な性質によって適宜使い分けていくのがよいでしょう。
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- ボンド(結合材、結合剤)
- 気孔
- 砥粒の種類:ダイヤモンドとCBN(ボラゾン)
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