突出量(つきだし量)

2010年6月26日更新

砥石は切削工具と違って、「刃」が目に見えませんが、それに相当する切れ刃は砥石の表面から無数に突き出しています。この突き出し量のことを突出量、突出高さなどと呼びます。砥石の場合、切れ刃となるのは「砥粒」で、砥石の突き出し量を決めるのはボンド(結合材)です。

主要な4系統のボンドでは、突き出し量の高い順に、電着、ビトリファイド、メタル、レジンとなります。突き出し量は、そのまま加工物に対して一度に切り込める深さにもなります。このあたりが切込み量で一回に除去する加工体積を決めてしまう切削工具とは異なる点です。

また前述のボンドは、加工物にあたった際の「あたり」具合が違います。タイヤに例えるなら、それぞれ空気の入っている量が違うため、加工物に接触する面積も異なります。レジンの突き出し量が低くなるのは、ボンドがやわらかく、砥粒が加工物に押されて引っ込んでしまうからですが、一度にたくさんの砥粒があたるため、砥粒の1つあたりの切込み量はさらに浅くなります。レジンが仕上げ工程でよく使われる砥石となっている理由の一つはこれです。突き出し量はボンドや各メーカーによっても違いますが、一説には電着では砥粒径の50%、ビト、メタル、レジンでは30〜10%以下が突き出し量の目安とされています。

スポンサーリンク

砥石の用語集へ戻る

砥粒の突出量(突き出し量)についての関連用語

砥石の砥粒
砥石の選び方:砥粒から選ぶ
電着砥石の突き出し高さ

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集