大理石の産地の分布状況
天然石材の紋様・デザインは産地によって大きく特長が違うため、有力な産出国は必ず他国へ輸出を行っている。輸出先は、加工拠点や消費国である場合が多いため、これらを調べることで世界の石材加工拠点や消費地域を推測できる。なお、先に行った御影石(花崗岩)とは産出国の顔触れは、一部重複しているものの、ほとんどが別の国となっている。日本は輸出、輸入の双方で大理石からは縁遠い国で、世界各国の統計で目立つほどの数量はない。
下記のグラフは、大理石のうち粗のもの、ならびに板材を国別に集計したもので、トルコが群を抜いて輸出額が多い。
世界各国の大理石産地の輸出量推移
トルコの大理石の輸出
大理石の原石に相当する「粗のもの」や板材の輸出先のほとんどは中国で、8割以上となっている。中国に続くのが、インド、シリア、台湾、イタリアでいずれも大理石の加工地域もしくは消費地域と合致する。 全体的に輸出量が増えているが、これは主として中国の購入金額が増えていることが要因で、その他の国ではほぼ横ばいの状態が数年間続いている。特に2010年には、前年から200億円近く増加している。
イタリアの大理石の輸出
世界を代表する大理石の産地の一つだが、輸出先としては中国、インドの大消費国が上位に入っている。中国への依存度はトルコほどではないが、インドと中国の大消費国の二国で輸出額の半分を占める。
北アフリカ地域が輸出先の上位国に入っている点にも特長がある。アルジェリア、チュニジア、エジプト、リビア等であり、石材加工機械もイタリアからこれらの地域へ輸出されている。
スペインの大理石の輸出
他国と同様、中国に最も多く輸出しているが、サウジアラビアやUAE、カタールといった中東諸国への輸出がある。石材の原石の統計では、サブプライム問題による影響と思われる2009年の落ち込みからそのまま回復せずに2010年を終えている国がいくつかあり、スペインも大理石の輸出については同様の傾向となっている。
上位の主要輸出国への金額は大きく変動しておらず、スペイン産の大理石を使わなくなった、もしくは加工しなくなった国が複数出てきている。
ギリシャの大理石の輸出
同国の大理石の大半は中国向け、香港向けだが、近隣のイタリアやキプロスへも輸出する。2010年は輸出額が伸びているが、中国の購入量が増えたことに起因するもので、他国の購入量が増えているわけではない。
ポルトガルの大理石の輸出
イタリア、ギリシャ、スペイン等とともにヨーロッパを代表する石材算出国で、大理石だけでなく、御影石の輸出量も多い。輸出先のほとんどは中国で、EU内ではイタリアやスペイン、ドイツ等の石材消費国に輸出している。
中国の大理石の購入量、輸入量
中国は世界中から石材を購入しており、その金額は世界一となっている。下図は大理石の「原石」の統計であり、購入金額の多い順に見ると、トルコ、エジプト、イラン、スペイン、イタリアとなっている。直近の統計では、2009年度には他国同様に輸入金額が落ち込んだが、2010年度には持ち直している。購入先の国はここ数年では順位に入れ替わりはないが、エジプトからの購入量は増加している。
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