炭素鋼鍛鋼品(SF材)の用途、機械的性質、成分の一覧

2010年8月26日更新

鍛鋼品とは、鍛造だけか、鍛造と圧延を組み合わせた方法によって作られる鋼です。鋳鋼品が型に鉄鋼を流し込んで成形していくのとは違い、いわゆる刃物の鍛冶のように鍛錬して作られる鋼が、この鍛鋼品といわれる材料です。この材料に合致するためには、鍛錬成形比と呼ばれる値が鍛造だけで作った場合は3S以上、圧延と鍛造の組み合わせで作った場合は5S以上で、熱を加えて加工する熱間加工でなくてはならないとされています。

鍛鋼品は熱を加えながら、鋼を鍛え、練ったものであり、非常に強じんな材料になっています。特に、厚みのある厚肉材の板厚方向の強度が、一般の圧延品よりも高いという特徴を持つとされます。このため、鉄道車両の車軸や、圧力容器用の部品、ガスタービンケーシング部材にも使われます。なお、似ているようでよく混同されるのが、鍛造品です。これは火造成形品とも言いますが、鍛造比(もしくは鍛錬成形比)の関係から、鍛鋼品とはならないため注意が必要です。

なお、昭和66年に規格が新しくなっており、旧来のものと新しいものとでは規格値そのものが異なっているため、新旧番号が厳密に対応しているわけではありません。

この材料を研磨もしくは研削をする場合、機械構造用炭素鋼に比べて、鍛鋼品のほうが素のままでは硬度がありますので、CBNホイールを用いる場合もあります。研削砥石を使うのであればアルミナ系砥粒であるWA系のものが適しています。

「JIS G 3201 炭素鋼鍛鋼品」に規定のある材料記号

スポンサーリンク

>このページ「炭素鋼鍛鋼品(SF材)の特徴、用途、成分、機械的性質の一覧」の先頭へ

加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る

炭素鋼鍛鋼品(SF材)の関連記事とリンク

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集