ポリフェニレンオキシド(PPO)の物性と用途、特性について
ポリフェニレンオキシドは樹脂記号としてPPOで表記されます。ノリル樹脂ともいわれ、熱可塑性プラスチックに分類されます。低温帯から耐熱温度領域まで幅広い範囲で物性が安定している樹脂で、他に難燃性、優れた電気特性(誘電損失が小さい)などを特長とします。
主として非変性PPO樹脂ノリルの主原料として使われるため、この名称で最終製品としてはあまり出回っていません。したがって、PPO自体を生産資材や原材料に一部として工場で見たり、製品として使われているものを日々の生活で見ることもあまりありません。主な用途としては、自動車部品、耐熱性製品、電気電子部品、事務部品、給水部品等があります。
フィラー(充填材)、種類 | 非変性 | グラスファイバー(GF)20から30%充填 | ||
---|---|---|---|---|
物理的性質 | 密度(g・cm^-3) | 1.06から1.10 | 1.21から1.36 | |
融点(℃) | 結晶性 | − | − | |
非晶性 | 105から120 | 105から120 | ||
透明度 | 不透明 | 不透明 | ||
吸水率(%)3mm、24h | 0.066 | 0.06 | ||
成形特性 | 成形温度範囲(℃) | 射出:218から315 | 射出:260から343 | |
成形圧力範囲(kgf・cm^-2) | 984から1405 | 1050から2810 | ||
成形収縮率(%) | 1.06から1.10 | 0.6 | ||
機械的性質 | 引張強さ(kgf・mm^-2) | 5.4から8.0 | 10.2から12.0 | |
最大伸び率(%) | 50から60 | 4.0から6.0 | ||
圧縮強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) | 11.2から11.5 | 12.4から12.6 | ||
曲げ強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) | 9.0から9.4 | 13.0から14.1 | ||
引張弾性率(kgf・mm^-2) | 250から267 | 249から267 | ||
圧縮弾性率(kgf・mm^-2) | 260 | 260 | ||
曲げ弾性率(kgf・mm^-2) | 253から281 | 253から281 | ||
アイゾット衝撃値(kgf・cm・cm^-1) | 2.5 | 12.5 | ||
硬度(硬さ) | ロックウェル | R115から119 | L106から108 | |
ショア | - | - | ||
熱的性質 | 熱伝導率(10^-4cal・s^-1cm^-2)(K・cm^-1)^-1 | 5.16 | 3.8 | |
比熱(cal・K^-1g^-1) | 0.32 | - | ||
線熱膨張率(10^-5K^-1) | 5.2 | 2.2 | ||
熱変形温度(℃) 18.6kgf・cm^-2 4.6kgf・cm^-2 |
100から129 | 132から149 | ||
電気的性質 | 体積抵抗率(Ω・cm)(23℃、50%RH相対湿度) | >1016から>1017 | >1017 | |
絶縁強さ(短時間法)(3.18mm)/kV・mm-1 | 15.7から19.5 | 16.5から23.5 | ||
比誘電率(εγ) | 60Hz | 2.64 | 2.93 | |
MHz | 2.64 | 2.92 | ||
誘電正接(tanδ) | 60Hz | 0.0004 | 0.0009 | |
MHz | 0.0009 | 0.0015 | ||
化学的性質、耐薬品性 | 燃焼性、速度(mm・min-1) | - | - | |
日光の影響 | 退色 | |||
弱酸の影響 | 無し | |||
強酸の影響 | 無し | |||
弱アルカリの影響 | 無し | |||
強アルカリの影響 | 無し | |||
有機溶剤の影響 | 脂肪酸に可溶、アルコールに抵抗 |
スポンサーリンク
>このページ「ポリフェニレンオキシド(PPO)の物性と用途、特性について」の先頭へ
- 加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
- 「プラスチックの種類と用途、物性について」へ戻る
- プラスチック(樹脂)の種類と記号一覧表
- プラスチックリサイクルマークの数字の意味と種類
- 4大プラスチックとは
- バイオプラスチックの種類と原料|デメリットや課題はどこにあるか
- PFOAの使用と含有製品はいつから規制か|フライパンから繊維、撥水剤、泡消火剤まで
- プラスチックの人体への影響|プラスチックは安全なのか
- プラスチックの比重、密度の一覧表
- プラスチックの融点、耐熱温度の一覧表
- プラスチックの熱変形温度の一覧表
- プラスチックの難燃性|UL規格と酸素指数から見る難燃性の度合い
- プラスチックの引張強さの一覧表
- プラスチックの比熱の一覧表
- プラスチックの熱膨張係数、熱膨張率の一覧
- プラスチックの熱伝導率の一覧
- アロイ化とは
- 熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の違い
- フェノール樹脂(PF)
- ユリア樹脂(UF)
- メラミン樹脂(MF)
- 不飽和ポリエステル樹脂(UP)
- ポリウレタン(PU)
- ジアリルフタレート樹脂(PDAP)、アリル樹脂
- シリコン樹脂(SI)
- アルキド樹脂
- エポキシ樹脂(EP)
- フラン樹脂
- ナイロン6(PA6):ポリアミド(PA)の一種
- ナイロン66(PA66):ポリアミド(PA)の一種
- ナイロン12(PA12):ポリアミド(PA)の一種
- ポリアミドイミド
- ポリアセタール(POM)
- ポリカーボネート(PC)
- 変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)
- ポリブチレンテレフタラート(PBT)
- GF強化ポリエチレンテレフタラート(GF-PET)
- 超高分子量ポリエチレン(UHPE)
- ポリフェニレンスルフィド(PPS)
- ポリイミド(PI)
- ポリエーテルイミド(PEI)
- ポリアリレート(PAR)
- ポリスルホン(PSF)
- ポリエーテルスルホン(PES)
- ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
- 液晶ポリマー(LCP)
- ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、いわゆるフッ素樹脂
- ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、いわゆるフッ素樹脂
- ポリエチレン(PE)
- ポリプロピレン(PP)
- ポリスチレン(PS)
- アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)
- アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)
- ポリ塩化ビニル(PVC)
- メタクリル樹脂(PMMA)
- ポリエチレンテレフタラート(PET)
- ポリビニルアルコール(PVA)
- 酢酸セルロース(CA)
- プロピオン酸セルロース(CP)
- 硝酸セルロース(CN)
- ポリ乳酸(PLA)
- フラン-ホルムアルデヒド樹脂(FF)
- エチルセルロース(EC)
- フェノール-ホルムアルデヒド樹脂(フェノール樹脂)(PF)
- ポリスルホン、ポリスルフォン(PSU)
- ポリ塩化ビニリデン(PVDC)
- ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
- アイオノマー樹脂
- FRP(繊維強化プラスチック)
- 炭素繊維メーカーの一覧
- プラスチックの黄ばみ除去について