ポリウレタン(PU)樹脂の物性と用途、特性について

2013年9月2日更新

ポリウレタン(PU)はウレタンゴムもしくはウレタン樹脂と呼ばれることもあります。ジイソシアネートとジオールモノマーが重合することで生成されます。ウレタン結合を持つポリマーの総称として使われています。常用できる耐熱温度は90〜130℃程度です。軟らかいものから硬いものまで種類が豊富で、接着性や耐摩耗性に優れた樹脂で、発泡体としても様々な性質を持つものがあります。

多様な形状、状態をもつポリウレタン

ポリウレタンには多くの種類がありますが、他のプラスチックの分類のように、熱によって溶けるのか、硬化するのかという分類で見ると、熱可塑性と、熱硬化性の二種類ともにあり、双方に分類することができます。

ポリウレタンの種類には、発泡体となっているフォームのほか、エラストマー、接着剤、塗料、バインダー、防水材、弾性繊維、合成皮革等があります。フォームはクッションなどに使われるタイプのもので、軟質フォームと硬質フォームがあります。軟質フォームは軽くてクッション性や耐久性にとみ、硬質フォームは断熱性を持ちます。

ポリウレタンの製法、用途

製法は複数あり、工場内で発砲したブロックを切断することで生産していく「スラブ成形」、金型を用いて成形する「モールド成形」、大型の断熱ボードのなどの製造で有効な「ラミネート成形」、製造しているものの内部の空間に直接ウレタン原液を注入して発泡させる「注入成形」等が知られています。

一方、エラストマーは弾性や機械的強度、低温特性、耐摩耗性や耐侯性、耐油性などに優れており、熱可塑性エラストマーと熱硬化性エラストマーがあります。下記の物性表の注型法とは、ポリウレタンを金型の中で加熱しながら硬化させる製造法のことです。

用途は、発泡体の場合であればクッション、自動車シート、断熱材、スポンジ全般、シーリング材、充填材として使われます。非発泡体であれば、工業用ロール・パッキン・ベルト、塗料、防水材、スパンデックス繊維等。

ポリウレタン(PU)樹脂の物性、特性
種類 注型用液状
物理的性質 密度(g・cm^-3) 1.1から1.5
融点(℃) 結晶性 熱硬化
非晶性 -
透明度 透明から不透明
吸水率(%)3mm、24h 0.02から1.5
成形特性 成形温度範囲(℃) 圧縮、84から120
成形圧力範囲(kgf・cm^-2) 7.0から352
成形収縮率(%) 0から2.0
機械的性質 引張強さ(kgf・mm^-2) 0.12から7.0
最大伸び率(%) 100から1000
圧縮強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) 14.0
曲げ強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) 0.40から3.1
引張弾性率(kgf・mm^-2) 7.0から70.0
圧縮弾性率(kgf・mm^-2) 7から70
曲げ弾性率(kgf・mm^-2) 7から70
アイゾット衝撃値(kgf・cm・cm^-1) 75〜可とう
硬度(硬さ) ロックウェル
ショア 10A〜90D
熱的性質 熱伝導率(10^-4cal・s^-1cm^-2)(K・cm^-1)^-1 5.0
比熱(cal・K^-1g^-1) 0.42から0.44
線熱膨張率(10^-5K^-1) 10.0から20.0
熱変形温度(℃)
18.6kgf・cm^-2
4.6kgf・cm^-2
広範囲
電気的性質 体積抵抗率(Ω・cm)(23℃、50%RH相対湿度) 2×1011から1015
絶縁強さ(短時間法)(3.18mm)/kV・mm-1 15.7から19.6
比誘電率(εγ 60Hz 4.0から7.5
MHz 6.5から7.1
誘電正接(tanδ) 60Hz 0.015から0.017
MHz
化学的性質、耐薬品性 燃焼性、速度(mm・min-1 -
日光の影響 無〜黄色化
弱酸の影響 わずか
強酸の影響 少し侵される
弱アルカリの影響 わずか
強アルカリの影響 わずか〜侵される
有機溶剤の影響 無〜幾分

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