コンクリートの除染に研削は効果があるか
放射線の影響を受けた様々な物体の表面は、まず洗浄することで表面に付着した放射性物質を取り除くことができます。
既に各社の報道番組等でも紹介されていますが、コンクリートの場合、表面を薄く削り取ることで付着した放射能、放射線物質の影響を低減することが可能です。
洗浄だけではだめなのかといえば、時間の経過とともにコンクリートの表面に開いている無数の微細な穴から中に放射性物質が入り込んでしまうため、洗浄だけでは十分に除染できないことがあります。
コンクリートは製法にもよるのですが、場合によっては石材等よりも、表面に微細な穴がたくさんあいているため、こうした物質が浸透する可能性があります。吸水率が高かったり、密度が低いものほどポーラス(多孔質)の構造をしている可能性がありますので、浸透する度合いはより高くなると考えられます。
上記の事情から表面に付着しているだけということであれば、洗浄で十分ですが、いったん中に入ると表面を削り取るのが効果的です。研磨や研削というのは、表面を根こそぎ削ってしまうため、隙間があろうが、微細な穴があろうが、一定の深さまでであれば問題なく除去可能です。
なお、コンクリートやアスファルト路面などの研削や研磨の際に注意すべきなのは、研削に伴う粉塵の飛散です。通常のものでも、乾式などで行うと効率はよいのですが、周囲が煙るくらいの粉塵が飛散するため、作業者は粉塵用マスクを着用することが推奨されます。また周囲にも削った粉塵が時間とともに降り積もっていきます。下記の動画にあるように、研削中に集塵する何らかの機構を備えたものであれば、こうした粉塵飛散の問題は軽減されます。
コンクリートの研削や研磨を除染目的で行う場合、粉塵には放射性物質が含まれることになります。作業者が吸ってしまうのはもちろん、これらが飛散してどこかに付着すれば結局除染にはなりませんので、削った粉までしっかり回収し、指定場所に廃棄するという作業が完了してはじめて除染となります。
水を使いながら研削や研磨を行う湿式の場合は、粉じんの発生を抑えることができます。ただ、これは多くの水を使うため、使用環境を選ぶのと、水と削った粉とが混じり合って汚泥(スラッジ)のようになりますが、これもしっかり回収できるという前提で行う必要があります。
コンクリートの研磨や研削自体は、下地処理や床工事ではごく一般的な施工方法の一つです。専用の床研磨機や床研削機に、ダイヤモンド工具を取り付け、高速回転させることで表面を削り取っていく仕組みです。凹凸の激しい床をならすレベリングや、塗り床を剥がした後の研磨等にも使われています。
呉英製作所:集塵機能付のコンクリート研磨機
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