砥石の面直しとは

2011年10月31日更新

砥石は使っていると表面が減ってきます。砥石が減っていく損耗は、砥石の形状が変化することでもあり、表面が真っすぐではなく、凹凸が発生したり、うねったりすることになります。

また減るだけでなく、削れた表面の「粉」が砥石の使用面にへばりついていく「目詰まり」と呼ばれる現象を起こしたり、砥石の表面から突き出している砥粒が摩耗していく「目つぶれ」、砥粒がこぼれおちてしまう「目こぼれ」などの現象を起こすことがあります。

面直しは、これらの問題を解決するために行います。これには以下の二つの効果があります。

  • 1.砥石の形状を整える
  • 2.切れなくなった砥石の切れ味を取り戻す

砥石の形状を整えることを、ツルーイングと言いますが、機械加工の世界では砥石の形状がそのまま加工物の形状に影響するタイプの加工が多いので、頻繁に行います。具体的には、砥石の表面をまた別の砥石で削ったり、専用のダイヤモンド工具であるダイヤモンドドレッサ等を使って砥石のうねった部分を削って形を整えていきます。

また切れ味の低下した砥石の切れ味を取り戻すことをドレッシングといいますが、これは砥石そのものを砥ぎなおすことをいいます。砥石の切れ味が低下する現象としては、先に述べた「目つぶれ」「目こぼれ」「目詰まり」が代表的なものがあります。砥石は、三つの部分で成り立っており(これを砥石の三要素ともいいます)、切れ刃となり対象を削っていく「砥粒」、それを固着させておく「ボンド」、切り屑の排出を助けたり、砥石の内部で温度が上昇しないよう働く隙間である「気孔」の三つで構成されています。

砥石は減っていくことで切れ味を保つという性質を持つ工具で、砥粒は使っているうちに生え変わっていく必要があります。またそのためにはボンドも削れて行く必要があります。このようにスムーズに砥粒が生え変わっていくことを「自生作用」「自生発刃」「セルフシャープニング」等といいますが、この現象が必ずしもうまく機能しないことがあるため、ドレッシングと呼ばれる作業、つまり面直しが必要となります。

工業用途では、この面直しを使用する間隔をなるべく長くすることで加工効率を阻害しないことが肝要となります。

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