砥石が切れなくなるのはなぜですか。
砥石は使っていくにつれ摩耗していきますが、中には使い始めて間もないのに切れ味が極端に低下したり、ワークの上を滑っているような感触がすることがあるかもしれません。バイトなどの切削工具と違って、砥石の場合は加工上、「切りくず」の果たす役割が大きく、砥石そのものが切り屑で減らされながら切れ味を保つという特徴を持っています。使用中にいまいちワークが切れない、という場合は以下のケースが考えられます。
- 砥粒と加工している対象が相性が悪い
- 鉄を含む素材にダイヤモンドを用いたり、ガラスなどの加工にCBNを使ってみたり、相性の悪い組合せはいくつかあります。
- 粒度があっていない
- 目の細かすぎるものを使っていませんか。前工程で仕上がっている面粗さに対応した粒度(番手)を選ぶ必要がありますが、これを何工程か飛ばしてしまうと、あたりが硬く、思うように削れなくなることがあります。砥石は、自分の身の丈にあった仕事しかしません。仕上げ用の砥石が粗用や中仕上げの代用品にはならないことを忘れずに。
- 目詰まりを起こしている
- 切り屑が排出されるメカニズムは意外と複雑で、切り屑がすべて砥石につかないようであれば砥石そのものが減りづらくなり、加工速度が落ちます。ただし切り屑がまとわりついて離れないのも、目詰まりを起こして切れなくさせます。
- ボンドや結合度など砥石の仕様があっていない
- 研磨するのに砥石なら何でも、というわけにはいかずワークに適した砥石を選ぶところから仕事は始まります。特にボンドの材質と硬さというのは、加工対象によって良く合うものというは往往にして同じというわけにはいきませんので、効果的な使い分けが必要です。研削盤などで使うのであれば、メーカーへ自分の加工しようとしている材料に合う砥石を見繕ってもらうのも一つの方法です。
- 回転数、切り込み、送りや切削油などの加工条件が適合していない
- 時間から逆算して回転数を砥石の仕様にあわないほど高速で使ったり、深切り込みしすぎたり、あるいは浅すぎたりと条件が適合しないことに起因する「切れない」はよく散見されます。砥石の仕様を変更できないのであれば、加工条件を見直し、折り合いをつけていくこともまた必要です。
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