光学ガラスとは

2010年6月26日更新

レンズやプリズムなど光を透過、反射、吸収させるための各種光学部品は、光学ガラスから作られています。一般のガラスには製造工程の溶融工程で生じる「脈理」と呼ばれるガラス内部のムラがあるのですが、これによって光学特性が変わってしまうことがあります。光学ガラスには「均質性」「透明性」が求められ、そのため、一般の青板、白板とよばれるガラスと違う物質が添加されることがあります。光学ガラスだけで200種類以上あるといわれています。

光学ガラスには大別すると、クラウンガラスとフリントガラスの二種類があります。クラウンガラスは、ソーダ石灰ガラスが元になっており、二酸化ケイ素や酸化ナトリウム、酸化カルシウムを主成分とします。対してフリントガラスは鉛ガラスが元になっており、二酸化ケイ素のほか酸化鉛が主成分となります。

こうしたタイプのガラスは光学特性、特に光の屈折率や透過率が選択の指標となりますが、加工する際には別の観点が必要です。

添加される材料によってそのガラスが持つ加工難度が変わることがあります。一般に、線膨張係数が低いほど加工はむずかしくなると言われますが、これは主としてガラスの硬さが変わるからです。また硬さ以外にも割れやすさも加工の難しさに直結する要素です。ガラス加工で不良の大半の原因は、チッピングやハマ欠け、ピリ欠けと称される微細な「欠け」です。元来が硬くて脆い材質ですが、添加材料によってこれに拍車がかかると、粒度の調整をはじめ、よりガラス向きの砥石や研削条件の調整が必要です。

石英が添加されている、あるいは石英ガラスに近いようなガラスは注意が必要です。これらは通常のガラス用の加工に使うダイヤモンドホイールでは損耗が激しくなる場合があり、加工条件とあわせて、適合する砥石を選ぶことが肝要です。

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